日常 | 文字数: 418 | コメント: 0

分度器(童話)

図工の時間で分度器を作った。 僕は間違えることのないように綺麗を心がけて作った。 とても誇らしいできだったので、皆にも自慢できる作品だと思った。 そして、皆次第に完成しだすと、自然にお披露目会が始まった。 其処で、僕はあることに気が付いた。 (A君の角度バラバラだ・・・) 僕は正確に作っていたので、直ぐにA君の分度器の何処がズレているかを指摘した。 すると、意外な返事が返ってきた。 「何言ってるの、君がズレてるんだよ。B君だって僕とおんなじになったんだよ。」 僕は慌てて周りを確認すると、A君に似ている人達が多く居ることに気が付いた。 そして、今一度自分の分度器を見直すと、僕が間違えてたんじゃないか・・という気がしてきた。 あれだけ正確に時間をかけて綿密につくったはずの分度器に誤差があったなんて・・。 僕は分度器を両手で持つと、直すことを決意した。    「ねぇ、A君分度器みせて!!」

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