２人、椅子を並べて、板を膝の上に乗せて、交通量調査のバイトをやっている。

カウンターはエアで良い。

Ａ「熱いなー、今、気温どのくらいだろ？」

Ｂ「３５億」

Ａ「ねぇよ！ 俺たち死んでるよ！ 地球滅んでるよ！」

そこに、高校生の集団が通りかかり、交通量調査員の前を、往復し始める。

Ａ「あー、邪魔だから、どいて！ 数、分かんなくなるだろ！」

Ｂ「３５億」

Ａ「んな訳あるか！ 分身できるわ！」

高校生の集団、去る。

Ａ「そう言えば、昨日、ゴキブリがでやがって」

Ｂ「ゴキブリは１匹見かけたら、３５億」

Ａ「居ねーから！ 怖ぇーから！ 想像したくないから！」

そこに、通行人がＢに道を尋ねる。

「市役所には、どう行けば、いいんでしょうか？」

Ｂ「このまま、真っ直ぐ行って、３５億番目の信号を」

Ａ「どこまで行かすんだ！ 日本列島突っ切って、海まで行っちまうだろうが！」

「何、この人！」

通行人は怒って行ってしまう。

Ａ「あー、しかし、熱い。このバイト、時給いくらだったっけ？」

Ｂ「３５億」

Ａ「ぜってーだな！ 足らねぇ分、お前、出せよ」

Ｂ「ペソ」

Ａ「ペソって、どこの通貨だよ！ 安くても、日本円でくれ！」

Ａ「そういや、今日って、何日だっけ？」

Ｂ「３５億」

Ａ「どこの国の暦だ！」

Ｂ「それは、さておき、今日は私の誕生日」

Ａ「そうだっけ？ 何歳になったの？」

Ｂ「３５億」

Ａ「何時代から生きてんだよ！ 人間いたか？ 地球あったっけ？」

Ａ「じゃあ、誕プレやろうか？」

Ｂ「じゃあ、チロルチョコを」

Ａ「遠慮するなよ」

Ｂ「３５億」

Ａ「遠慮しろよ！ 鼻血の海で溺れてしまえ！」

Ａ「あ、で、今、何人だ？」

Ｂ「３５億」

Ａ「だから、いるわけねぇだろ！ 日本の人口、知らんのか？」

Ｂ「大丈夫、応援呼んだから」

ありったけの人が、交通量調査員の前を往復する。

Ａ「いや、それでも、３５億には、ならないだろ」

Ｂ「大丈夫、人間は１人見かけたら、３５億」

Ａ「もういいわーっ！」

終わり。