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小さな指輪

古より、世界には小さな指輪と大きな指輪が存在すると言われていた。

また、
小さな指輪を手にすると小さな何かを
大きな指輪を手にすると大きな何かを
得ると言われていた。

街のパブにて

兵士ア「おい聞いたか」
兵士イ「何だよ」
兵士ア「あれだよ」
兵士イ「ああ、あれな」
兵士ア「ついに俺、手に入れたんだ小さな指輪を」
兵士イ「マジかい?いにしえから伝わる伝説の小さな指輪を」

兵士アはポケットから小さな指輪を取り出し、兵士イに見せる。

兵士ア「まあな、これで俺は小さな何かを得れるらしい」
兵士イ「これ、本物っぽいな。どきどきだな!」
兵士ア「ふふ。じゃ、そろそろ帰るな、今晩うちはカレーだ。」
兵士イ「いいな、カレー。おれんちは素麺だ。」
兵士ア「こう暑いと素麺も美味そうじゃないか。生姜入れるのか?」
兵士イ「うちは素麺にはワサビ派だ。」
兵士ア「おいおい、素麺には生姜って決まってるだろ?ワサビは蕎麦だろ」
兵士イ「わさびの辛みが素麺には合うんだよ。お前さん素麺の何たるかを全く分かっちゃいないね」
兵士ア「まあいいや。カレーが待っている。さらば。」
兵士イ「おいおい、金置いてから帰れよ!」

兵士アの家の玄関
兵士ア「おーい、今帰ったぞお」
奥さん「あら、あなた、また酔っぱらって帰ってきてー、今日は特製のカレーなのに・・・食べる?」
兵士ア「もちろん食べるだよ。兵士イが会社帰りにどうしても話したいことがあるって言うもんだから一軒付き合ってやることにしたんだ」
奥さん「もう、そうやっていつも兵士イさんをダシに使ってるけど、いつもあんたが誘ってるんじゃないの」
兵士ア「おいおい馬鹿言うなよ。今日はカレーの日なのに、誰が好き好んで兵士イと飲むんだよー。俺がカレー好きなの知ってるだろう!」
奥さん「じー」
兵士ア「なんだ?声に出して『じー』って!俺の目を凝視するな!まあいい、カレーを頼む!」

・・・奥さんは、台所に行きカレーの支度を始めた。

食卓にて

兵士ア「カレーだ!カレーだ!今日はカレーの日~♪」(兵士ア作詞作曲の「カレーの歌」)

奥さん「あなた、できたわよー、カレー」

奥さんが台所からカレーを手にもってやってきた!

兵士ア「ヤーホーイ!カレーだあああ・・・・アレ?」

首をかしげる兵士ア

奥さん「何か、問題でも?」

兵士ア「このカレー、具がないじゃないか?」

奥さん「何言ってんのよあなた。ちゃんと具入ってるわよ。よく見なさい」

兵士アはカレーを覗き込む。

確かに、かろうじて形を残したジャガイモやニンジンがカレーに入っていた。

兵士アは思わずこう言った。

兵士ア「具、ちっさ!」

奥さん「あなたの帰りが遅いから、煮込みすぎて、野菜が崩れたのよー あなたのせいよ!!」

兵士ア「がボーン!」

奥さん「あーはっはっはっはっー!」

こうして兵士アは、めでたく小さな何かを得ることができたとさ。

食後

兵士ア「具不逝兮可奈何 具兮具兮奈若何」

おわり

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