秘密の王子様と月下の約束
🗡️ 一番槍第一章:真夜中の秘め事 桜井さくらは、剣道部のエースとして知られていた。竹刀を振るう姿は凛々しく、新選組の貴公子沖田総司と並ぶと評されていた。毎日の素振りで鍛えられた腕は、女子とは思えないほどの筋力を誇っていた。下駄箱には年下の女子学生からのラブレターが溢れかえり、裏庭や屋上に呼び出されての告白はもはや日常茶飯事だった。 「さくら先輩、お話があるんです……」 そんな声をかけられるたび、さくらは困ったように微笑むのだった。 しかし、誰も知らない秘密があった。子供のころから、自分の足の裏のすえた臭いを嗅ぐのが好きだった。夜、部屋のベッドの上で、こっそりと足の裏の臭いを嗅ぐ。それがさくらの密かな楽しみだった。 不思議なことに、足の裏の臭いを嗅いだ夜に限って、ある夢を見るのだった。 第二章:王子 それはレオン王子が出てくる夢だった。 「私はレオン。あなたをずっと見ていました」 銀色の髪をなびかせ、王子はさくらの手を取った。 月明かりの下、二人は手を繋いで、石畳を歩き、城に入ると、螺旋階段からお城の屋上に出て、二人で星を眺めた。 「さくら、愛している」 「わたしもよ、レオン」 夜空に光る月からは、怪しい光が降り注いでいた。 遠くの山の頂に、かすかに灯りが見えた。あの山には魔女が住んでいるという伝説があった。しかしさくらはそんなことを気にも留めなかった。 第三章:深まる愛 高校生になったさくらは、友達やネット、SNSでいろいろなことを知るようになっていた。キスのこと、抱き合うこと。そういう知識は持っている年頃だった。 ある夜、ついに二人は口付けを交わした。子供の頃から夢で会っていたレオンと、初めてのキスだった。 その朝から、様子がおかしくなった。 足の匂いが、今までとは比べ物にならないほど強烈になっていた。 レオンとじゃれあうほど、翌朝起きると、足の匂いがきつくなっていった。 「こんな臭いにおいを嗅いじゃいけない……で、でも、また嗅いでみたい……」 普通なら、こんな臭い足を嗅ぐのはやめるはずだ。しかし、さくらは違った。臭ければ臭いほど、なぜか惹かれてしまう。その葛藤のなか、やってはいけないことをやってることが更に興奮させ、病みつきになっていった。 そしてそれは、レオン王子への想いも同じだった。触れ合えば触れ合うほど、もっと触れ合いたくなる。臭くなればなるほど、もっと嗅ぎたくなる、レオンに触れたくなる。 腐敗臭がする足の匂いとレオンへの感情。二つの欲望が相乗効果となって、さくらを突き動かしていた。 そしてある夜、ついに二人は抱き合った。 第四章:水虫の王子 その朝、足の親指と人差し指の間に、グジュグジュとした感触を感じた。そして猛烈な痒みが走った。さくらの足は重度の水虫に侵されていた。 その夜も、さくらは習慣通り足の裏を嗅いだ。水虫になってさらに強烈になった臭いに、頭がクラクラした。 そして夢の中でレオンに会うなり、さくらは「お前か!」と叫んだ。「出てこい!分かってるんだぞ!」 王子は慌てた様子で姿を現した。さくらは剣道で鍛え上げた左腕で、王子の首根っこを掴み、軽々と宙に持ち上げた。 「おぃ、水虫王子!おまえだろ、おまえが私を水虫にしたんだろ!痒くて痒くていてもたってもおられへん!どないしてくれるねん!」 さくらは持ち上げた王子を地面に叩きつけるように投げ捨てた。 第五章:月下の約束 転がった王子は、慌てて桜に向かって平伏した。 「申し訳ございませんでした。さくら様のおっしゃるとおりでございます。実は私は水虫の王子でした。ばれたら嫌われると思ってずっと隠して、黙っていました。私こと水虫王子に触れることでさくら様の足の指は水虫菌が充満し、病状が進行するのです。しかし今後は痒みを出さず、臭いだけを提供することを月に誓います。さくら様はかゆみは苦手のようですが、臭いの方がどうやらお好きなようですし、、、これなら、いかがか?」 「むむ。たしかに臭いだけならば願ったりだ。でも、痒みはやめろ!次やったらぶっ殺すぞ!」 三日月の月光を浴びながら、二人は約束の熱い口づけを交わした。 しかしレオンは言わなかった。臭いを残しつつ痒みだけを抑えることが、自然の摂理に反し、それがどれほど自分の身を削る行為であるかを。。。 第六章:蜜月の日々 大学生になっても、社会人になっても、さくらとレオンの関係は変わらなかった。 さくらは昼間は普通の女性として生活し、夜になると足の裏を嗅いでレオンに会う。それが十年以上続いた。 友人たちが次々と結婚していく中、さくらだけは独身を貫いた。 「さくらちゃん、彼氏とかおらんの?」 「うーん、まあ、おるっちゃおるねんけどな」 夢の中の王子のことは、誰にも言えなかった。 第七章:レオンの苦痛 二十七歳になったさくらは営業職として働いていた。一日中革靴で外回り、水虫に侵された足は本来ならかつてないほどの痒みに達しているはずだった。 しかし、王子のあの時の誓いにより、くさい臭いだけを残しつつ、痒みだけを抑えられていた。 さくらは毎晩、足の裏を嗅いでは夢の中でレオンと愛を重ね合っていた。さくらはレオンのおかげで恋愛もスキンシップも十分に満たされており、現実で彼氏を作ろうともしていなかった。 しかしレオンはさくらの足の間で必死に痒みを吸い取り、自らの体内にストレスを溜め込んでいた。その精神的負担はとても大きく、見た目は昔のとおり美しいままのレオン王子だったが、内面、つまり精神がボロボロになっていった。 「もう……限界が近い……無理かもしれん・・」 レオンは震える手で、今日もさくらに臭みを与えつつ、痒みだけを器用に吸い取った。 第八章:大爆発 ついにその時が来た。 大事な商談中、さくらの足に猛烈な痒みが走った。レオンの(痒みを押さえ込む)力が、ついに尽きたのだ。 さくらは、めくるめく足の疼きと、押し寄せてくる痒みの波に、我慢できず靴を脱ぎすて、ストッキングをはぎ取ると、机の上に生足を放り出した。ボリボリと手の指で、足の親指と人差し指の間をかきむしった。 「うっうー、じゅくじゅくして、たまらないわ、この感じ」 思わず涎がしたたった。凄まじい腐敗臭が会議室に充満した。取引先は顔をしかめ、もちろん、この商談は破談になった。 「顧客の面前で、なんたる下劣、なんたる恥知らず、なんたる蛮行か!」 上司からはひどく叱責され、さくらは花形の営業職から外された。 第九章:激怒(げきおこ) その夜、さくらは足を嗅ぎ、レオンを呼び出すと、竹刀を振り回し、ボコボコにしてやった。 「お前のせいで!お前のせいで私の人生めちゃくちゃや!」 面、胴、コテ、喉と、さくらにより的確に剣先を打ち込まれたレオンは、ボロ雑巾のようになって床に転がっていた。 「もうお前には二度と会いたくない。消え失せろ!」 さくらは冷たく言い放ち、レオンの首を持ち上げると、窓を開けて外に投げ捨てた。 真夜中の路上に落とされたレオンは拳を握りしめた。 「許さない……絶対に許さない……利用するだけしてこの仕打ちは絶対に!」 レオンの目に、復讐の炎が宿った。 第十章:足臭山(あしゅうざん)の魔女 復讐を誓ったレオンは、魔女が住むという足臭山(あしゅうざん)を登ることにした。三日三晩、休むことなく登り続け、ついに山頂にある魔女の館にたどり着いた。 「おお、水虫の王子よ。何用じゃ」 魔女は不気味に笑った。 「俺に力をくれ。あの女に復讐するための力を」 「ふむ……ならば、二つの魔力を授けよう。まずはドリアンの魔力。これであの女の足からかぐわしいドリアンの臭いを出せる。あの女は足の臭いに目がないのだろう?必ずやドリアンに夢中になって足裏を嗅ぎ続けるはずじゃ。そしてこれが納豆の呪い。この魔力は使ってのお楽しみじゃ。ただし、代償として、お前は二度と水虫王子には戻れぬぞ」 「構わない」 レオンは迷わず答えた。魔女から受け取った茶色い納豆の錠剤とドリアンの黒い液体とを一気に飲み干すと、レオンの体は魔力に包まれた。 第十一章:再会 さくらはレオンを捨ててから、足の裏を嗅がなくなっていた。もう二度とあの男に会いたくなかったからだ。 しかしある夜、ベッドに入ると足元から不思議な甘い香りが漂ってきた。 「なに……この臭い……」 思わず足の裏を嗅いでしまった。ドリアンのような、なんとも言えない芳醇な臭い。一度嗅ぐと止まらない。 さくらは、足の裏に顔をくっつけて、直接的に足の裏を嗅いだ。 夜にレオンが夢に現れた。 「レオン……?生きてたの……?」 「ああ、さくら。君に会いたかった。許してほしいんだ。痒くして済まなかった・・」 レオンは優しく微笑んだ。 「私こそ……あの時はごめんなさい……あなたにこんな魅惑的な匂いがあるなんて知らなかったの」 「さくらのために、さらなる実力をつけて戻ってきたんだ。これはとてつもなく臭くそして、甘美な匂いだろう。きっと気に入ってくれると思っていた」 その夜、二人は強く愛し合った。ドリオン臭に魅了されたさくらは恍惚の表情を浮かべていた。 しかし、レオンの目は笑っていなかった。 最終章:仕上げ 翌朝、さくらはベッドの中で、なんとも言えない芳醇な臭いに包まれた。 足の裏から、かぐわしいドリアンの臭いが漂っている。さくらは夢中になり、足の裏を嗅ぎまくった。 「たまらない……もっと……もっと……」 一度嗅ぎ始めると止まらない。毎晩、足の裏を嗅ぎ続けた。そして毎晩、レオンに逢った。 ある夜、夢に出てきたレオンは、いつもと違って白いパックを背負っていた。 「レオン……それ、何……?」 「これか?これはさくらへの想いがつまっている。新たな匂いの源だよ。魅惑のフレーバーさ」 「ああ、サプライズってわけね。ありがとう。ああ、明日になるのが楽しみだわ。早く足の裏の新しいテイストを嗅いでみたいわ」 レオンは優しく微笑んだ。その夜、レオンは念入りに、ねばっこくさくらに抱きついた。二人は糸を引くように絡み合った。 翌朝、さくらは異様な感触で目を覚ました。 「なに……これ……」 足の裏が、妙にネチョネチョしている。見ると、足全体が茶色い糸を引く納豆にまみれていた。 「ひ、ぎゃああああああ!」 天井裏に身を潜めていた納豆王子レオンは白いパックを背負って、満足げにさくらを見下ろしていた。 「これが復讐だ、さくら! おまえは一生ネバネバした納豆が絡まる足の裏になったのだ! 歩くたびにねちょねちょと納豆を踏みつけることになる。 それはとてもぞっとするほど気持ち悪い感触だろうよ。あっはっは!」 白いパックの間から、使用後の黄色のからしの小袋が覗いていた。 「さらば、さくら!お前にはもうこりごりだ。二度と会うことはあるまい」 納豆王子レオンは、忍者のごとき俊敏な動きで、隣の家に飛び去った。 さくらは泣き叫びながら、足の裏をこすり続けた。しかしネッチョリとした納豆の粘着力はすさまじく、簡単には取れなかった。 また、夜にいくら足の裏を嗅いでも、レオンは二度と現れなかった。 それでも、さくらは毎晩足の裏を嗅がずにはいられなかった。納豆の匂いに、どこか懐かしいレオンの残り香を感じたからだ。 そして決まってその翌朝には、さくらの足の裏に新たに生成された鮮度抜群の納豆がこびりついていた。 〜 めでたしめでたし 〜
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コメント
いえ、突っ込み続けながら、読み切りましたよww
楽しむことはちゃんと楽しみましたよw
なかまくらさんへ
読ませて、すみませんでした。
なぜ、こうなったのか?
私にもよく分からないのです。。。
何をどうしたら、こんなお話になってしまうんですかww
剣道部だったということで、それはもう、バイオハザードも待ったなしだったのでしょうね・・・。~めでたしめでたし~
クソみたいな話を作ってしまったw