ジョーク | 文字数: 623 | コメント: 0

おてて

おてて __ぱち ぱち ぱち ゆっくりと気ままに手を叩き、彼女は言った。 「手のしわとしわを合わせて"幸せ"なら……」 __ぱちん 一際大きな音が辺りに響いた。 僕は彼女のその手を見つめながら帰路に就いた。 「人は"幸せ"を"願う"よね」 彼女はまだ、そんなことを言っていた。 「幸せを願うのは当たり前じゃないか」 僕は横目で楽しそうに見てくる彼女にぶっきらぼうに返したのを微かに覚えている。 「じゃあさー」 今度は僕の手を両手で握って、指を絡めながら、「私達二人が手を合わせたら二人で幸せになれる?」と訊いてきた。 「…………」 ジリジリと、眩しい太陽が耳を焦がし始めていた。 「……なれるよ、というか、なるよ」 「本当に? じゃあじゃあ、これは?こうしたら、どうなるのかな」 彼女は自分の手の甲と僕の手の甲を合わせて可愛らしく首をかしげた。 「それは__」 続きは言えなかった。 通学路に突っ込んできた車に彼女は轢き潰されてしまったから。 何が起きたのか理解できなくて。 何が起きたのか理解したくなくて。 何も出来ないままでいたら、背中から女の高い笑い声が鼓膜を震わせたのだ。 「あっははッ、死んじゃった、死んじゃった、××だね」 そう、笑顔で言い放った彼女のその両手は、手の甲が合わせられて、傷だらけの指関節がぴったりと互いに寄り添い合っていた。

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