恋愛 | 文字数: 1152 | コメント: 0

Forty - four Lover Story

「愛してる」

「今なんて言ったの?」

「(うわぁ、マジか。この女。俺にもう一度、あんな恥ずかしい告白、言わすのか)」

「えっと・・・愛してる」

「大きな声で」

「からかうな!」

「聞こえなかったんだから、しょうがないでしょう」

くっきりはっきり、言ったはずなのに、そう思いながら、そして今度はちゃんと聞き返されぬように、さっき伝えた思いを大げさに変えて

「結婚しよう」

こう言った。

「さっきと言ったこと違うじゃん」

「しょうがねーだろ。聞こえない、って言われたんだから。ってか、聞こえてたんじゃん」

「すっごい、いきなりだね」

「先月から、ずっと言おうと決めてたんだ」

「そうなの?」

「たくさん、君と思い出を作って、たくさん笑って、たくさん泣かせてきた僕だけど、この気持ちに、嘘偽りはない」

「ちょっと待って、そんなすぐに決められないよ」

「次、会ったときにでも、答えを聞かせてくれればいい」

照れて、顔を赤らめている彼女が、物凄く可愛く見えた。

とりあえず、今日のところは、答えが聞けぬまま、別れることになった。

何をするにしても手につかなかった。LINEを送っても既読は付くけど、返信がない。

滲んだ感情のまま、時が過ぎた。

濡れぬ先の傘、とはいかなかった告白。

寝れぬ日々が幾日か続き、彼女から「明日、会おう」とLINEが届いた。

飲み屋の帰り、彼女に告白した場所にもう一度来て、答えを聞いた。

「はい!」

日は暮れ、2人だけの空間に、その答えが響いた。

不安しかなかった、ここ数日。

平凡だった毎日が、彼女のお陰で、彩り豊かになり、さらにこれから、何色もの色彩が足されることが、嬉しくてたまらなかった。

「ほんとに?」

まじまじと彼女の顔を見る。

耳まで真っ赤にした彼女。照れているのはこの間と同じだが、どこか違う。決意に満ちた感じがする。

無理だと思った告白。

目に涙を浮かべているのを恥ずかしくなり、手で拭う。

「もう一度、告白させて欲しい」

「やっぱり、そう言うと思った」

ゆっくりと深呼吸をする。

夜空は満天の星。

来週に、婚姻届を出すことに決めた。

旅行の計画も立てた。

ルビーが好きな彼女のために、婚約指と結婚指は、その宝石に決めた。

連日のように、結婚の話をしているひと時が、物凄く幸せに感じた。

6月。ジューンブライド。この日に、僕たちは結婚した。

ワクワク、ドキドキな結婚生活を祝福するように、挙式の鐘が鳴り響いた。

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