日常 | 文字数: 993 | コメント: 0

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これで僕は「正しい」のだろうか。 なぜなら僕は怠惰だった。 なぜなら僕は出来なかった。 何が出来なかった、かと言えばそれは、健全な男子高校生なら誰だって星に願うもの。 彼女だ。 夏休みも終わりが近づいているというのに。 今年も何も出来ずに無為に過ごしてしまった。 学校や用事がないとどうも家でゴロゴロすることに時間を費やしてしまう。どうせ見たいテレビなんてないのに、延々とチャンネルを回してるだけで一日が終わってしまったり。 怠惰に過ごしてしまう。 これは正しくない。 今日も太陽はギラギラとアスファルトを焦がしている。 外から子供たちの、楽しそうな声が聞こえる。 賢いあの子はきっと今頃勉強をしている。 派手なあいつはきっと今頃女の子と過ごしている。 そして、僕は薄暗いこの部屋にいる。 四畳半の狭い空間ではあるが、狭いが故にクーラーの効きが早くいつでも涼しい。 この部屋においては、僕は僕の自由を誰にも侵されない。 正しくあろうとなかろうと、この部屋でだけは僕は他人から意見されない。 最も、ただ、ぼうっと過ごしているだけなので意見などしようがないのだが。 「んっと、流石になんか飲まなきゃな。」 喉の乾きを感じた僕は読みかけの捲りすぎてページに妙な癖のついた漫画を乱暴に閉じ、部屋のドアを開けた。 本来の気温がぬるりと顔にあたり、日差しが反射して目に刺さる。 僕は顔をしかめながらリビングの冷蔵庫に入っているジュースを目指した。 グラスに氷を入れ、開けたばかりのジュースを注ぐ、 カランカラン…しゅわしゅわしゅわ、ぱちぱちぱちぱち…。 炭酸と氷の弾ける音が響く。 僕は部屋に戻ってグラスの中を一気に喉に流し込んだ。 身体中の血液がジュースと同じ成分になっていく、冷たさが脳を停滞させ、炭酸は喉にささやかな痛みを与える。 体が潤っていく。 「ふぅ……。」 グラスを置き、この生活も残り僅かである事実に思いを馳せる。 「うん、偉いとか偉くないとかじゃないんだよな。」 「この時間が、ちまちまと流れていくこの時間こそが、今の僕にとっての「正しさ」なんだ。」 「それだけでいい、今の僕はこれ以上を望まない。」 グラスの中身を再度満たすために僕はもう1度リビングへ向かった。

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