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BAD END

※この話はバイオハザード7の番外編でもあり、バッドエンドでもあります。「合流、そして恐怖」で変異した脩司を倒した所から始まります。

 少し先に進むと、冬斗と諒がいた。

 二人とも無事だ。

 麗奈「血清を使ったわ。あと一つしかない…。」

 冬斗「残ったのは一つだけ…?一人分しかないなんて…。」

 諒「…これからどうするんだよ…。」

 本当は二人に血清を打ちたかった。

 これは、もうどちらかに使うしかない。

 私は仕方なく…。


 諒「うっ…!」

 冬斗「…!」

 諒を選んだ。

 私が水島邸を脱出するために、諒が協力してくれたから。

 本当は、冬斗も助けたかった。

 麗奈「ごめんなさい、許して…。」

 麗奈「諒に安全な場所まで案内してもらって、後であなたを助けるから…。」

 血清を自分に使わなかった冬斗は、酷く悲しんでいた。

 冬斗「…行って。」

 冬斗は私を睨み、口を開いた。

 冬斗「…聞きたくない。二人とも早く消えてよ!!」

 冬斗は私を押し退け、険しい表情で涙を流していた。

 麗奈「冬斗…!」

 冬斗「早く行ってよ!!」

 もうダメだ。

 何を言っても、冬斗は否定する。

 冬斗「僕の居場所はここだよ。あの子と一緒だ。」

 麗奈「馬鹿な事言わないで!」

 私は、感情を剥き出して冬斗を怒鳴った。

 冬斗だって助けたいのに、何故そんな事を言い張れるワケ?

 そんなのありえない。

 冬斗「…忘れたの?僕にはまだ仕事があるんだ。」


 麗奈「…助けを送るから。」

 冬斗にそう言い告げ、諒と共にボートで沼を渡った。


 諒「…ありがとな…。俺を選んでくれるなんてさ…。」

 麗奈「冬斗はもう変わってしまったわ。私達ならここから脱出できるはず。」

 諒「…そうだな。」

 冬斗を置いて、私は諒と沼を渡っていく。

 冬斗は…、未だ悲しんでると思う。


 麗奈「一体何が起こってるの?冬斗に何があったの?」

 諒「冬斗がエヴリンと来たのが、全ての始まりだ。」

 麗奈「エヴリン…、あの子ね。」

 麗奈「冬斗は何か知ってたのね。」

 冬斗は以前、そのエヴリンって子の事を知っているのか、私は今まで知った事がなかった。

 冬斗とエヴリンの間に、何かあったのね…。


 諒「あれだ。冬斗とエヴリンはあの船に乗ってきたんだ。」

 麗奈「え…?あの船で…?」

 沼に沈下していた船。

 冬斗はそこで何かがあったはずだった。


 麗奈「行ってみましょ。」

 諒「…あそこには戻りたくないんだ。」

 諒も、ここで何かあった事を知っている…?

 そうなれば、諒は何者なのか。

 麗奈「何があったのか知りたいのよ。」


ガタンッ!

 麗奈・諒「…!?」

 麗奈「今のは何!?」

 突然ボートが急に止まった。

 何かが沼の中にいる…!?

 諒「あの子だ…。俺達を逃がさない気だ…!」

 エヴリンの力で、ボートが止まる…?

 そんな力もあったの…?

 諒「う″ぅ″ッ!!」

 諒「嫌だ…!やめろ…!エヴリン…!」

 諒「お願いだ…!エヴリン…!!」

 突然、諒が苦しみ始めた。

 そして、諒の体から白い塊が浮かび上がった。

 諒「そんなつもりじゃ…なかったん……だ………。」

 やがて、諒は固まり始め、遂には動かなくなった。

ザパアァッ!!

 麗奈「何よこれ!」

 何が起きてるのかわからず、衝撃に巻き込まれ、私は流されてしまった。

 あれは何だったのか。

 私の意識は、ここで途切れてしまった…。

(ここから「謎の少女」の冬斗sideから「水島家の真実」の麗奈が精神世界から目覚めた所までカット)

 冬斗の声『エヴリンやめろ!お姉ちゃんから離れろ!』

 エヴリンの声『何で?こいつはお前を愛していない。私が愛させてあげようか?』

 冬斗の声『やめろ!お姉ちゃんに触るな!』

 エヴリンの声『麗奈を傷つけるのは私じゃないって言ったでしょ?』

 冬斗の声『お姉ちゃんに何かしたら…!』

 エヴリンの声『どうする気?お前はお兄ちゃんじゃない。そう言ったよね?』

 冬斗とエヴリンの声が聞こえる…。

 私…、生きてるの…?


メキィッ…!

 麗奈「うっ…!」

メキィッ…メキィッ…!

 麗奈「うぅっ…!」

 塊が剥がれる音が聞こえる。

 もしかして…!


 冬斗「くっ…!」

メキィッ!

 麗奈「うぐぅっ…!」

 私は目を覚ますと、目の前に冬斗が抱き締めていた。

 麗奈「冬斗…?どうして…?」

 冬斗「時間がないんだ!これを…お姉ちゃんに…!」

 冬斗から何かを受け取られた。

 下を見てるヒマなんてなかった。

 冬斗「もう耐えられそうにない…!限界だ…!」

 冬斗は苦しんだ。

 もしかして…、エヴリンのせいで…?

 精神世界で脩司が言い残した言葉も、冬斗にも同じく操ったって事…?

 そして、冬斗は私を押し退け、ナイフを構えた。

 冬斗「僕の事…、愛してると思ってたのに!」

 あの時と同じ、豹変していた。

 私は足下にあったパールを持ち、冬斗を殴り付けた。

 抵抗しながら、冬斗はナイフでパールを切ろうとしていた。

 だがしかし…。

ザクッ!

 冬斗「ごはあぁッ!!」

 私は冬斗の胸元に、パールを串刺しにした。

 臓器を貫いていると思っていた。

 冬斗は口から大量の血を吐き、私の肩を掴んだ。

 冬斗「…お姉ちゃんがあの子を止めて…。…お願い……。」

 冬斗の体から塊が浮かび上がる。

 やがて粉々に崩れ、冬斗の姿は跡形もなく消え去ってしまった。

 麗奈「どうして冬斗が…。何で…。」

 私は冬斗の破片を手に取り、涙がぼろぼろと流れ始めた。

 諒も冬斗も、助ける事ができなかった。

(ここから「エピローグ 最後の悪夢」終盤までカット)

 ヘリに乗ると、朝がやってきていた。

 『お姉ちゃん元気?』

 冬斗の可愛らしい声が、冬斗の携帯から微かに聞こえた。

 冬斗が私に送った、一通の動画。

 冬斗『大好きだよお姉ちゃん。早く会いたい。離れていても、お姉ちゃんを想ってるから。』

 冬斗『それじゃあね!』


 麗奈「…さよなら…。」

 私はそう呟くと、冬斗の携帯を投げ捨てた。


 どんなに暗い夜も、いつかは明ける。

 ようやく、夜明けが訪れた。

 気が遠くなるほど、長い夜だった。

 苦しめられたのは、私と冬斗だけじゃない。

 水島家もそう。

 あの化け物・エヴリンに、変えられてしまった。

 でもあいつはもういない。

 後の事は、彼らに任せればいい。

 冬斗の死から立ち直ろうとした私は、再び彼を失った。

 夜が明けても、光は見えない。


 全て、私の自業自得だった。

 あの時冬斗に血清を使っていれば、こんな事にはならなかった。

 冬斗、本当にごめんね…。

 お姉ちゃんは…、悪い人だったわ…。


 …帰還して仕事場に行っても、どこかへお出掛けしても…。
 
 …私は、毎日泣き続けていた…。

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