日常 | 文字数: 305 | コメント: 0

恋人との居場所

冬休みにビールを飲みながらベランダにいた。だいぶ寒くなったが、本が面白いので、チェアに座って、膝掛けをしてじっとして本を読んでいた。ところで、夜については、あたしは知らない。いずれはやってくるものだとしか。だいたいにおいて、あたしが本に飽き、それから彼がやってくる頃に夜が始まるのだという。

Δ

ビールはもうぬるくなってしまった。僕は少しだけ背伸びをする。それから、近いようでいて彼方の彼女をみる。その背中を。きれいな背中だ。彼女の名は1984。やわらかく、途方も無い名前だ。夜に飽いた彼女の胸を伏せる、もう劣情は必要ない、沈黙をのぞむ。するともちろん静謐は僕たちを覆った、冬休みがはじまった。

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