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ドウターズ1

~諒side~  俺は水島諒。  水島家の長男であり、一人の妹を持つ四人家族の家に住んでいる。  これは、異変が起きる前の話。  俺はのんびりニュースを見ている時だった。  紗由理「嵐の被害はどうだって?」 ブツンッ  母さんにそう言われた時、俺はテレビの電源を消した。  諒「まだ言ってない。」  すると、親父の声が聞こえてきた。  脩司の声『紗由理!開けてくれ。もう一人いた。』 ガチャッ  紗由理「あら…、まだ子供じゃないですか。」  脩司「そうだな。もう一人の子は?」  紗由理「寝てます。可哀想に…。」  親父が抱き抱えていたのは、一人の黒髪の少女だった。  この少女は、最初は気絶していたらしい。  脩司「寝かしておこう。ここ数日いれば、町まで連れていけるだろう。」  紗由理「諒、ランドリーから綺麗な服を取ってきて頂戴。」  紗由理「…きっと船のオイルか何かで汚れちゃったんですね…。」  脩司「…そうだな。」  この頃の親父と母さんはまだ優しかった。  そんな家族の一員になっていた俺は、心の底から両親に感謝している。  紗由理「着替えさせて、温かいベッドで寝かせてあげましょ。愛梨の昔の部屋がいいですね。」  愛梨「え~、別の部屋でいいじゃん。」  脩司「愛梨、静かにしろ。もう使ってない部屋だろ。」  脩司「…民宿をやるのが夢だったんだ。」  紗由理「夢が叶って良かったですね。」  紗由理「寝かせて。スープを温めます。」  親父は母さんと結婚した頃、いつか民宿を他人にあげようという夢を持っていた。  親父はああ見えて、結構というほど世話好きだった。  紗由理「今夜はスープが美味しいですよ。通して、愛梨。」  愛梨「む~…。」  昔の子供部屋を使われ、頬っぺたを膨らましてふてくされていた愛梨。  昔から変わってないな。  そんな妹・愛梨が可愛らしかった。  俺は母さんに頼まれた新しい服をランドリーから取り、愛梨の子供部屋へと向かった。  部屋に入ると、たった今ベッドに少女を寝かせた親父がいた。  脩司「この子を綺麗にして服を着せてやってくれ。ボートハウスを見てくる。半分沈んでたからな。」  諒「わかった。」  親父はそう言って部屋を出た。  どうやら、少女を見つけた時にボートハウスが大変な事になっていたのだろう。 ポチッ  諒「…よし。」  俺はちょっと寄り道で屋根裏にあった愛梨のパソコンを覗き込んだ。  ちなみに、俺は愛梨のパソコンのパスワードは知っている。  何せ、操作丸見えのスマホと同じパスワードにしていたから。  ムカついたこと ・晩飯中にスマホ見てたら親父に殴られた ・母さんの料理に文句言ったら説教された ・ヨガの練習してたら兄貴に変態呼ばわりされた ・酔っ払った親父が何でもかんでもベランダの赤い工具箱に放り込んで忘れてる  俺はこれを見て、ちょっと笑ってしまった。  そういや愛梨、ヨガやってたもんな。  俺がヨガの練習してた愛梨に「お前変態か」って言った時、愛梨は顔を真っ赤にしてそっぽ向いてた事あったな。  あの頃の愛梨はツンデレだった。  俺はパソコンを見終えると、ベッドに服を置いて撫でてやった。  諒「いい子だな。綺麗にしてやるよ。」  少女「…皆もらった。」  諒「…え?」 ゴロゴロゴロ…  諒「…!?」  「ヒヒヒヒヒヒ…!」  すると雷が鳴り、辺りが真っ暗になった。  諒「親父!停電した?」  諒「…雷でも落ちたのか…?」 ガタンッ!  諒「何の音だ?」  リビングに行ってみると、愛梨が気絶して倒れていたのを見かけた。  諒「…!?愛梨、どうした?しっかりしろ!」  返事がない。  俺は変に感じ、二階に行ってみた。  諒「一体何が起きてるんだよ…。」  紗由理の声『わかってる…、わかってるのよ…。そう、皆大歓迎ね…。』  二階にに着くと、バスルームから母さんの声が聞こえた。  諒「母さん…?」  紗由理「諒、おいで。あの子からの贈り物よ。」  俺は母さんに近付いてみると、そこで異変が起きた。  紗由理「…こっちに来て、あの子がくれた私の可愛い子供を見てみなさい!」  諒「…!母さん!!」  母さんの口元から、ムカデのような虫がじわじわと出てきた。  脩司「何してる!」  偶然通りかかった親父が、俺を庇って母さんを止めてくれた。  紗由理「キスしてください!」  脩司「紗由理!どうしたんだ!」  その頃の母さんは、様子がおかしかった。  脩司「ガレージへ行け!ロープがあるから、行け!早く!!」  親父はそう行って、母さんに抵抗しながら、バスルームのドアを閉めた。  紗由理の声『邪魔しないでください脩司さん!アハハハハハッ!!』  紗由理の声『私達は家族になるんですよ!あの子の家族のように!』  脩司の声『やめろ紗由理!おい…!』  脩司の声『頼むから手荒な事はさせないでくれ…!』  俺はガレージからロープを取りに行こうとすると、まだ母さんや親父の声が聞こえる。  やがてガレージへ着くと、ロープを手にした。  諒「…すぐ行くよ、親父。」  俺は急いで、バスルームへ向かった。

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