恋愛 | 文字数: 2881 | コメント: 0

久玲亜の過去

 あたしは橋本 久玲亜(はしもと くれあ)。  あたしには一人の彼氏がいる。  茅野 啓太(かやの けいた)だ。  彼は熱い心の持ち主で、そんな彼があたしは好きになった。  中学校の頃、元から臆病者だったあたしは席を立ち上がる事すらできなかった。  その時に…。  「お前、大丈夫か?具合でも悪いのか?」  彼の声がしたんだ。  この時の啓太は、すごくイケメンだった。  「久玲亜、部活どうする?」  久玲亜「え、あたし?」  中学校に入ってから初めての部活。  小学校からの友達と、何部に入るかを話していた。  「あたしバド部入ろうと思ってんだけどさ、久玲亜も入らない?」  久玲亜「えぇ、あたしはいいよ…。」  そもそも、あたしは運動はできなかった。  小学校の持久走では、最下位に近いくらい。  「じゃあ、久玲亜は何部に入るの?」  久玲亜「う~ん…。」  「趣味に合ったやつでいいんじゃないか?」  突然声がした。  聞き覚えのある声。  「ん?啓太?」  啓太「俺はバスケが好きだから、バスケ部入ろうとしてたからさ!」  「そこ威張るとこ?」  啓太「お前らはどうするんだ?」  「あたしはバド部だけど?」  啓太「お前は?」  久玲亜「え、あ、えっと…。」  男子とあまり話した事がなかったから、あたしはすごく緊張していた。  啓太「趣味とかさ、それに合ったやつない?」  久玲亜「えっと…、イラスト…かな…。」  啓太「お、じゃあ美術部でいんじゃね?」  久玲亜「え…?」  「啓太、ここは久玲亜に決めさせないと!久玲亜が困ってるでしょ?」  久玲亜「あ、あたしは大丈夫だよ…。当たり前の事言っただけだし…。」  啓太「じゃあ、これで決まりだな!」  啓太「頑張れよ!美術部!」  久玲亜「あ…。うん…!」  あたしは啓太の言葉でドキッとした。  鼓動が止まらなかった。  啓太は優しくてかっこよくて…、あたしはそこから啓太の事が気になって仕方がなかった。  「久玲亜、どうしたの?」  久玲亜「ふわっ!?あ、いや、何でもないよ!」  「そう?体調悪いならすぐ言いなよ?」  久玲亜「うん…、ごめんね、心配かけて…。」  啓太の事が好きなんて言えない。  心の中に隠したままでいた。  一年が経ち、あたしは放課後に体育館へ向かった。  バスケ部を見に行ってた。  体育館の中から、ドリブルを着く音が鳴り響く。  久玲亜「あ…。」  あたしは啓太を見つけた。  この時は、啓太はベンチメンバーに入っていた。  大会が近い中、あたしは啓太を見守っていた。  久玲亜「…。」  あたしは昇降口の隅に座り込んでいた。  胸の中のモヤモヤがあったままだった。  「何してんの?」  久玲亜「ん…?あ…!」  あたしを呼んだのは、啓太だった。  首にはタオルがかけられてる。  昇降口の隅に座り込んでいた事に、あたしは啓太から目を逸らした。  啓太「帰るか?一緒に。」  久玲亜「…え?」  啓太はあたしと下校する事を言い張った。  これはもしやと思い込みながら、あたしは下校を始めた。  久玲亜「ねぇ、啓太…君…。」  啓太「ん?」  久玲亜「あのさ…。」  あたしはその時、頭の中がぐちゃぐちゃになり、何を言おうとしていたのかもわからなかった。  久玲亜「…やっぱり何でもない…。」  啓太「…そうか。」  この時、あたしは啓太は呆れたんじゃないかと考えてばかりだった。  ただでさえあたしは、男子と話す機会なんてなかったのに…。  啓太「久玲亜…だっけ?」  久玲亜「え?あ、うん。」  突然、啓太はあたしの名前を言った。  あたしはドキッとした。  啓太「俺さ、実は…。」  啓太「…一年の時から、久玲亜が好きだったんだ。」  久玲亜「…!?」  突然の告白だった。  確かに中一の時、あたしは散々啓太に世話を焼かされていた。  啓太はこんなあたしでも、気を遣ってくれた。  悪いのはあたしの方なのに…。  久玲亜「啓太君…?」  啓太「俺、去年から久玲亜の事、気になっていたんだ。」  啓太「だから、今から言う…。」  啓太「久玲亜、俺と付き合ってくれ!」  久玲亜「…!!」  啓太からの告白。  断る事なんてできなかった。  最初に好きになったのは、あたしの方だったから…。  久玲亜「…あたしも…。」  啓太「…!」  久玲亜「あたしも…、啓太君の事が…好き…でした…。」  久玲亜「あたしからも…、お願いします…!」  啓太「久玲亜…。」  中二で、あたしは啓太と付き合う事になった。  啓太「久玲亜!」  久玲亜「ん?どうしたの?」  啓太「久玲亜に会いたくてさ。時間いいか?」  久玲亜「うん。構わないよ。」  あたしは啓太と付き合ってから、毎日話す事ができた。  告白されるなんて思ってもいなかったけど、啓太と一緒にいる時は、今でも楽しい。  そう思っていた。  それから中三になっても、卒業しても…、あたしと啓太は毎日のように会って、沢山話をした。  あたしは、幸せで泣きそうになった。  やがて、あたしは恥ずかしがりから立ち直り、いつもとは違う日々が続いた。  これも、啓太のおかげだ。  高校に入学し、沢山の友達もできた。  最初に友達になったのは、翔(しょう)とまいまい(舞依(まい))だった。  こんな幸せな毎日は、あたしは忘れる事はできなかった。  啓太「久玲亜。」  久玲亜「…。」  啓太「久玲亜!」  久玲亜「あ、何?啓太。」  啓太「さっきからボーッとしてたからさ、何かあったか?」  久玲亜「ううん、何でもないよ。」  久玲亜「ねぇ、啓太…。」  啓太「ん?」  あたしは啓太に、こう言った。  久玲亜「…これからずっと、あたしを特別な人にしてね♪」  啓太「ああ。するよ。」  久玲亜「えへへ、啓太大好き!」  啓太「おい…!この野郎~!」  これからはずっと啓太と一緒。  そんな毎日が続いた。

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