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prologue バイオハザード

 心地よい風が吹く中、少年少女達は野原にいた。

 翔「気楽だなぁ…。毎日こうだと嬉しいよ。」

 少年である原谷 翔(はらや しょう)は、野原に寝転がって呟いた。

 啓太「翔はいつもそうだよな。流石は自由人ってとこだぜ。」

 隣で座っていた翔の友達・茅野 啓太(かやの けいた)が呟いた。

 翔「まあいいじゃん。こういう休みの日ってあまりないし。」

 啓太「そうかもな。俺だって毎日楽しんでるからな。」

 舞依「啓太が言える立場なの?それ。」

 翔の幼馴染みの遠藤 舞依(えんどう まい)が突っ込む。

 翔「舞依、気にしないで。啓太はこういう子だから。」

 啓太「おい、翔…!」

 翔「だっていつもの事でしょ?」

 翔は平然としながら、啓太の事を舞依に語りかけた。

 啓太「おいぃ…!久玲亜も何か言ってくれよ ~…!」

 久玲亜「ん~?」

 寝転がって携帯を見ていた橋本 久玲亜(はしもと くれあ)。

 久玲亜は啓太の彼女である。

 翔「啓太~、いつまでも彼女さんに頼っちゃダメだよ?」

 啓太「…るせぇな!久玲亜が彼女だからって毎回頼ってる訳じゃねえし!」

 久玲亜「もぉ~、啓太ぁ、冷静になりなよ~。」

 啓太「久玲亜…!」

 啓太は彼女である久玲亜に中学校の頃から頼ってばかりだった。

 しかし久玲亜は、そんな啓太を気にしていない。

 舞依「でもまぁ、皆仲が良くていいよね。まるで小さい頃から知り合ってるみたい。」

 翔「舞依、僕と君は幼稚園から一緒でしょ?」

 舞依「あ、そうか。」

 啓太「はぁ…、まあせっかくこうやって皆いるからさ、こうやって気楽に過ごしていこうぜ。」

 久玲亜「うん、それな!」

 四人は笑い合った。


~その夜~

 外には滝のような大雨がザアザアと降っていた。

 翔(うひゃあ…、酷い雨だなぁ…。)

 翔(父さんは一週間出張でいないし、母さんも友達の子供の成人式行っちゃったし、妹は夜練で遅くなるし…。)

 翔(今夜は僕一人か…。)

 原谷家は、翔一人だけだった。

 翔には一つ年下の妹が一人いて、バドミントン部に所属していた。

 今日は夜練でいない。

 それに対し翔は文芸部だった。

 運動神経は妹の方が断然上だと、翔自身はそう思ってる。

 翔(…のんびりテレビでも見てよっと。)

ピッ

 キャスター『緊急速報です。今夜7時に〇〇市で、ミサイルが発射され、爆発が起こりました。』

 翔「…!?」

 翔がテレビをつけると、ニュース速報が映り出した。

 画面の奥は、何か様子がおかしくなっていた。

 キャスター『ミサイルの中身には、青黒いガスのようなものが入っており、非常事態となっております。』

 生中継キャスター『こちら〇〇市です!現在向こう側から飛んできたミサイルが爆発を起こし、ガスが発生しています!』

 生中継キャスター『一般の人達は、すぐに避難してください!』

 翔「何これ…!?」

 画面には、青黒いガスが映り出されていた。

 何かで見たことがある…。

 キャスター『たった今、情報が入りました。』

 キャスター『ミサイルの中に入っていた青黒いガスは、「C-ウイルス」というウイルスであり、感染すると無差別に人を襲うようになります。』

 キャスター『C-ウイルスが浄化するまで、安全な場所へ避難してください。』

 翔(C-ウイルス…!?)

 C-ウイルス。

 それは人をゾンビやモンスターに豹変させるガス。

 下手すれば、死に至るものだ。

ピロリンッ

 翔(…!LINEだ…。)

 突然、翔の携帯からLINEの通知音が鳴った。

啓太<翔!今どこにいる!?

 翔(啓太からだ…!)

翔<自宅だよ。啓太、これってもしかして…。

啓太<お前もニュース見たのか!これは多分、バイオハザードだ!

 翔「え…!?」

 翔(バイオ…ハザード…!?)

 そう、バイオハザードだ。

 現実ではありえない、バイオハザードが発生したんだ。

舞依<ミサイルがこっちに来る!逃げて!

ドッゴオォーーーンッ…!

 翔「…!今のは…!?」

 奥から爆発音が鳴り響いた。

 翔はカーテンを開けると…。


 翔「嘘だろう…!?」

 外には、町が燃え上がっていた。

 先程の爆発のせいなのか。

 翔「両親は…?千織は…!?」

 翔は慌てて家族に着信を送る。


 翔「くそ…!何で繋がらないんだよ…!」

 何度試しても、家族の一人すら通話に出なかった。

 翔(…。こうなれば、外に行くしかない。)

 翔(無事を確かめに行くんだ。)

 翔はそう思い、外へ走り出した。

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