日常 | 文字数: 1549 | コメント: 0

がんばるってなに?

 僕は努力がわからない。 した事がない。僕は、嫌な事から逃げてきた。 嫌な勉強を続けていたのは、お母さんから怒られるのが怖かったから。 通いたくない学校へ通うのは、それが当たり前と思っていたから。 夏休み、僕は自由研究という課題に取り組んでいる。 毎年やってる事だけど、これまでは友達と一緒にやってきたから、卒なくこなせたけど今年は違う。 小学六年最後の自由研究は、一人でやらなきゃいけないんだ。 何を研究したらいいんだろう。いや、僕は何を研究したいんだろう。 自由ってどこまで自由なんだろう。 そもそも、自由ってなんだろう。・・・。 何だか胸のあたりが重たくなってきた。 明日でいいか。 〜〜〜 ・・・今日が夏休み最終日。まだやっていないという焦りを抱えたまま今日を迎えてしまった。 遊んでいる時もずっと胸の底がざわざわする感覚が離れなかった。 永遠と思われた夏休み、こんなにあっという間に終わってしまうなんて。。。 覚悟を決めて、何を自分が研究したいのか考えてみることにしよう。 僕が興味あることといえば、信号機はどうして自動で赤から青に変わるのだろうってこと位か。 パソコンで調べてみて簡単そうなら、ちゃっちゃとまとめちゃおう。 「よしっ!!」光が見えた気がした。 「んーっと、し、ん、ご、う、き スペース し、く、み」 検索してみると、色んなサイトがあるようだった。 よしクリックだあ!! (ん、、、なんだこの漢字?? それに、どういうこと?) だめだ、言葉の意味がわからない。 忽ち消えかけていたはずの胸のざわざわが大きくなり、僕はとうとう泣いてしまった。 「どうじだらいいんだよお〜〜〜」 20分位泣いていたと思う。誰の手も伸びてこない事を知り、忽ち僕は自由が怖くなった。 自由に怯えながら、泣きながらも僕は何とか信号機の仕組みを知ろうと色んなサイトをクリックした。 やっぱり意味がわからない、どうしても意味がわからなかった。けれど、探しているうち僕は閃いたんだ。 (どうして意味がわからないんだろう。) 言葉の意味や、漢字を抑も知らないからだ。 なら、言葉の意味や漢字の読みを調べたらいいんじゃないか。 僕は必死になって調べ始めた。お母さんやお父さんに漢字の読みを教えてもらったりもした。 自分の課題だからと、直接手伝ってもらうような事はしなかったし、段々と信号機の仕組みを理解できるようになるのが楽しかった。 また、お父さんもお母さんも信号機の仕組みをよく知っていなかったから大人でも分からない事を僕は今勉強しているんだと思うと、少し誇らしかった。 結局、その日はほとんど寝ずに自由研究に没頭した。  目の下にクマができている僕をみて、担任の先生が「夏休みの課題、昨日になって必死にやったんだろー笑」って言ってきた。 「はい、何とかできましたあ」って返事すると、「自由研究もちゃんとやったか?」って言うから 「その自由研究のせいで、僕は今寝不足なんです」って答えた。 「ははは」って先生は笑って、「どれどれ〜」って僕の提出した自由研究の用紙を探した。  すごくドキドキした。これ出してよかったんだろうか、とか自由ってこれでいいんだろうかとか、いろいろと不安が込み上げた。 先生は真剣な眼差しで僕の自由研究を見ると、「これネットで調べたのか?」って言うからドキッとして 「は、はい。」っておどおどしながら答えた。 「信号機の仕組み、理解できたのか?」 「はい。」 「よく頑張ったなあ。凄いぞ!」  僕はその日嬉しくて、その日までの全てが報われた気さえした。  

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