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エピローグ 最後の悪夢

~前回までのあらすじ~
 冬斗に塊を剥がされ、意識が戻った麗奈。姉を脱出させた冬斗は、エヴリンの体組織を麗奈に渡し、扉を閉めた。一方麗奈は、冬斗の代わりにエヴリンを追跡し、殺すという目的を果たしに向かった。最後の悪夢が今、始まる…。


 [送信ログ:2015.1/16 (金) am 00:42]
 あんたらのおかげで正気に戻って一週間。支配されてないフリってまだバレてないみたい。おっかない生物兵器も、所詮ガキってワケ?
 親父や母さんは完全にあいつの言いなりだよ。あれが家族とか、あんたらどんな教育してきたワケ?

 [送信ログ:2015.11/4 am 02:10]
 エヴリンのおきにの冬斗って少年は相変わらず不安定。急に暴れ出したりするから、仕方なく檻に閉じ込めてる。
 エヴリンの奴、しょっちゅうボロ家に会いに行ってるらしい。お兄ちゃんが恋しいって事かな。

 [送信ログ:2016.4/1 am 01:10]
 エヴリンの家族集めがエスカレートしてるけどさ、冬斗の言うこと聞かないからイラついてるだろうけど、後始末する身にもなってほしいよ。

 そういや最近、エヴリンの様子がおかしい。顔色悪いし眼も落ち窪んで肌もガサガサ。これさ、細胞劣化が始まったんじゃない?


 これは多分、愛梨の日記だ。

 愛梨が見てきた出来事が、ここに書いてある。

 エヴリンに対しての出来事も…。


 私は冬斗から受け取られたエヴリンの体組織をアタッシュケースに入れ、E-ネクロトキシンという注射らしきものを取った。

 これでエヴリンを止められる。


 しばらく廃鉱が続く中、奥に木で塞がれた通り道があった。

 力を入れて押してみる。

 麗奈「うぐぅっ…!」

 すると、木はカラカラと倒れ込んだ。

 その先には、見覚えのある場所だった。


 冬斗『間違いない…。』

 少し進むと、私の瞳の先に冬斗が映り込んだ。

 冬斗『…!…ドアがない…!?なくなってる…!なくなってるよ!!』

 これは、最初にここで冬斗と会った出来事…。

 ここで冬斗は迷い続けていたんだ。


 地下を抜けると、廊下は白い霧が包まれたかのように、見えにくくなっている。

 麗奈『うわっ…!』

 冬斗『僕に構うなッ!!』

バギギィッ!!

 私が凶暴化した冬斗に突き飛ばされた場所。

 今でも覚えている。

 エヴリンの声『全部お前のせいなんだ。』

 麗奈「これは幻覚…?」

 エヴリンの声が聞こえ、奥に行ってみる事にした。


 バッ

 麗奈「…!」

 冬斗『お姉ちゃん、安心して。大丈夫、僕だよ。』

 冬斗『傷つけるつもりはなかったんでしょ…?』

 エヴリン「そいつを殺して。お兄ちゃん。」

ブンッ!

バタンッ!

 冬斗『よくもやりやがったな!このクソ野郎が!!』

 冬斗『お前も味わいやがれ!』

 そうだ。この時の冬斗も、エヴリンに操られていたんだ。

 エヴリン「こいつお姉ちゃんになりたくないって。それじゃあ、殺すしかないね。」

 エヴリン「じゃあ次はお兄ちゃんがお前を殺す番だよ。」


 エヴリン「お前も家族にしてやる。そしたら少しはお行儀よくなるよね?」

 私は、E-ネクロトキシンをエヴリンに見せた。

 麗奈「…私は本気よ。」

 エヴリン「…!やめろ!私に近付くな!」

 エヴリンは怯え、去ってしまった。


 屋根裏に着くとエヴリンがいた。

 エヴリン「近付くんじゃない!お前にわかるもんか!」

 エヴリンから、思いもよらない風が吹き出した。

 私は抵抗しながら、エヴリンに近寄る。

 エヴリン「いや!やめて!もうそれ以上近付くな!」

 エヴリンは私に向かって否定してくるが、私はそれでも近寄った。

 エヴリン「やめろ!やめろ!やめろ!」

 そして、エヴリンの肩を掴んだ。

 エヴリン「嫌だ…!嫌だ!嫌だ!嫌だ!!」

ザクッ!

 エヴリン「キャアァーーーッ!!」

 E-ネクロトキシンをエヴリンに打つと、耳をつんざくような叫び声が響き渡った。


 麗奈「…!あなたは…。」

 私の前に現れたのは、車椅子に座っていたお婆さんだった。

 エヴリンの正体は、このお婆さんだったのだ。

 エヴリン「どうして皆私を嫌うの…?」

 エヴリンは黒く染まった涙を流しながら、そう言った。

 麗奈「終わりよ。エヴリン。」

 エヴリン「ヴア″ァ″ァ″ァ″ァ″ア″ッ!!」

 エヴリン「苦しい!苦シイ!苦シイ…!!」

 エヴリンは泥状に溶け…。

 麗奈「…!?」

 辺りは穢れ始め、目の前には巨大な顔が映り込まれた。

ガラガラガラ…!

 麗奈「…!?きゃあぁぁぁぁあッ!!」

 足下が崩れ、落ちてしまった。


 麗奈「うぅ…。」

 目を覚ますと、私は屋敷の外にいた。

 そして、巨大化しているエヴリンは、屋敷の屋根を突き破って出てきた。

ザシュッ!

 麗奈「うあぁぁぁあッ!!」

 私は左足を串刺しにされ、そのうえ地上から離されてしまった。

 もう撃ち抜くしかない…!

 ショットガンやマシンガンなど、私は抵抗しながら撃ち続けた。

 エヴリン「ヴア″ァ″ァ″ァ″ァ″ア″ッ!!」

 麗奈「きゃあぁぁぁぁあッ!!」

 私はエヴリンが怯んだと同時に、振り落とされた。

 強く地面に倒れ込んだため、身体中に物凄い痛みが走った。

 私は奥を見てみると、マグナムらしき武器が落ちているのを見た。

 通信『それを使え!』

 私はその武器に近付く…!


 麗奈「さあ、これで終わりよ!」

バァンッ!バァンッ!バァンッ!

 私はエヴリンの顔に何発も撃ち続けた。

 エヴリン「ヴア″ァ″ァ″ァ″ァ″ア″ッ!!」

 耳障りな金属音が響き渡る中、狙い続ける。

 エヴリン「ア″ァ″ァ″ァ″ア″…!」

ガラガラガラ…

 エヴリンは地面に倒れ込み、粉々に崩れ落ちた。

 麗奈「はぁ…、はぁ…。」

 私は意識が朦朧としていた。

 これで、助かったのね…。


 ヘリの音が聞こえる。

 誰かが助けに来てくれたんだ。

 一人は、私に近付く。

 ヘルメットを外した人物は…。


 「慎太郎だ。無事で良かった。」

 私の従兄弟・慎太郎兄だった。

 慎太郎兄が差し伸べた手を、私は掴んだ。

 麗奈「…随分遅かったじゃない。」


 ヘリに乗ると、朝がやってきていた。

 これで、全てが終わった。


 冬斗「…お姉ちゃん…?」

 麗奈「…冬斗。」

 私のそばに、傷だらけで横になっていた冬斗がいた。

 麗奈「助かったのよ。お姉ちゃん達。」

 冬斗「…!本当に…?」

 冬斗は笑顔を作った。

 冬斗のこんな可愛らしい笑顔を見れたのは、久しぶりだった。

 私は、冬斗と手を繋いだ。

 冬斗の温かい手と心が、ここでやっと伝わった。


 どんなに暗い夜も、いつかは明ける。

 ようやく、夜明けが訪れた。

 気が遠くなるほど、長い夜だった。

 苦しめられたのは、私と冬斗だけじゃない。

 水島家もそう。

 あの化け物・エヴリンに、変えられてしまった。

 でもあいつはもういない。

 後の事は、彼らに任せればいい。

 私は冬斗を失ったと思ってた。

 でも彼は戻り、全てを乗り越え、歩み出そうとしている。

 ここから新しい日が始まる。

~バイオハザード7 end~

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