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水島家の真実

~前回までのあらすじ~
 意識を失った麗奈を助けに、沈下していた船に足を踏み入れた弟・冬斗。そこで謎の少女・エヴリンと出会い、3年前のビデオテープを見せられる。先輩を失い、エヴリンからも被害を受け、海中で意識を失っていた冬斗。今までの記憶が全て戻り、再びエヴリンを探すのだが…。


 僕は再び、お姉ちゃんを探した。

 少し進むと、監視室に着いた。

 冬斗「お姉ちゃん…!」 

 モニターを見てみると、塊で動けなくなってるお姉ちゃんが映し出されていた。

 冬斗「まだ間に合えばいいけど…。」

 冬斗「よし、一番下だね。」

 僕はモニターから離れる。

 すると…。


ガシッ!

 冬斗「うぐっ!?」

 エヴリン「嘘つき!!」

 冬斗「やめろ!エヴリン!!」

 突然、エヴリンが僕の左手首を掴んできた。

 骨が折れるくらいの力で握り締める。

 エヴリンが去ると、僕の左手首にエヴリンが掴んだ跡が残っていた。

 冬斗「もう幻覚はうんざりだ。あの子はどこだよ…!」

 僕はエヴリンに対しての怒りが止まらなかった。

 僕はあの時のように、エヴリンを探し回った。


 敵を倒しつつ、ようやくエヴリンの所へと辿り着いた。

 エヴリン「私のためにやってもらいたい事があるの。」

 エヴリンがそう言うと、すぐに去ってしまった

 冬斗「お姉ちゃん…!」

 エヴリンの後ろにいたのは、先程カメラに映っていたお姉ちゃんだった。


~麗奈side~

 「…麗奈。」

 声が聞こえる。

 誰の声かはわからないが、気絶から目が覚めた。


 脩司「麗奈。」

 麗奈「…!」

 そこにいたのは、死んだはずの脩司だった。

 まだ生きていたの…?

 私は警戒した。

 脩司「おい…!心配しなくていい、傷つけはしない。」

 脩司は、何か様子がおかしかった。

 何で…?さっきまで襲いかかってきたのに、今はそうでもなくなっている。

 脩司「今までずっと自分を抑えられなかったんだ…。」

 麗奈「どういう事?」

 自分を抑えられなかった…?どうして…?

 脩司「本当は殺したくなかった…。…紗由理だって同じだよ。娘の愛梨もだ。」

 脩司「…もちろん、諒もそうだ。」


 脩司「全てあの子が…、エヴリンがやったんだ。」

 麗奈「あの子は何なの?あなた達に何をしたの?」

 エヴリンって…、さっき私を黒い物体で襲いかかってきた、あの少女の事かしら…?

 私は、エヴリンが何者なのかを脩司に問いかけた。


 脩司「…あの子は妙な力を使い、俺達を感染させた。」

 脩司「あの子は、俺が沼地の船のそばで見付けたんだ。」


 脩司「…そこから全てが変わった。」


 麗奈「感染させて人を支配するの?」

 脩司「いや…、正確には違うな…。」

 脩司「あの子は…!無理矢理心に入り込むんだ。そうなったら…、もう抵抗できない。」

 脩司「一度あの子と繋がると…、自分の感情も抑えられなくなってしまい…!」

 脩司「その後はもう…、全くの別人になってしまう…。」

 麗奈「冬斗が送ったメッセージも、エヴリンの仕業って訳ね。」


 脩司「いいか、あの子は…、ただ自分の家族が欲しいだけだ。」

 脩司「エヴリンが鍵だ。いいな?お前ならあの子を…、止められるはずだ。」


 脩司「麗奈…、家族を自由にしてくれ…。お願いだ…。」

 そうだったのね…。

 脩司や紗由理、愛梨はただ殺したかったのではなく、エヴリンが脩司達を感染させたせいで、あのように襲いかかってきたのね。

 それに変異までした…。あれもエヴリンのせいで…。

 水島家は、幸せな毎日を過ごしてきたのね。

 それを壊したエヴリンを、放っておけない。

 幸せを壊したエヴリンを…、必ず止めてやる。

 脩司、紗由理、それに愛梨…、あの世で私を見守っていて。


 冬斗の声『エヴリンやめろ!お姉ちゃんから離れろ!』

 エヴリンの声『何で?こいつはお前を愛していない。私が愛させてあげようか?』

 冬斗の声『やめろ!お姉ちゃんに触るな!』

 エヴリンの声『麗奈を傷つけるのは私じゃないって言ったでしょ?』

 冬斗の声『お姉ちゃんに何かしたら…!』

 エヴリンの声『どうする気?お前はお兄ちゃんじゃない。そう言ったよね?』

 冬斗とエヴリンの声が聞こえる…。

 私…、生きてるの…?


メキィッ…!

 麗奈「うっ…!」

メキィッ…メキィッ…!

 麗奈「うぅっ…!」

 塊が剥がれる音が聞こえる。

 もしかして…!


 冬斗「くっ…!」

メキィッ!

 麗奈「うぐぅっ…!」

 私は目を覚ますと、冬斗が悲しそうな表情を作り、私の身体を押して後退りさせた。

 麗奈「…!冬斗…、何でここに…!?」

 冬斗「時間がないんだ…!お姉ちゃんはあの子を探して!」

 冬斗「これを…、これを持って行って…!」

 冬斗から何かを受け取られた。

 下を見てるヒマなんてなかった。

バタンッ!

 麗奈「ちょっと待って、何してるの?何のつもり!?」

 冬斗「お姉ちゃんを助けるんだ…!」

 冬斗「お姉ちゃんはここを出て…!もうこれ以上耐えれそうにないんだよ!」

 麗奈「やめて…!」

 冬斗「お姉ちゃんはあの子を殺して…!」

 麗奈「やめて…、ダメ…!冬斗…!!やめてーーーーッ!!」

 私は冬斗を呼び叫び、涙が止まらなかった。

 大切な弟が…、私のために…。

 私は啜り泣き、握り拳を作りながら、眉間にしわを寄せた。

 麗奈「このクソガキ…!どこに隠れてるのよ…!!」

 私はあのクソガキを…エヴリンを探した。

 水島家を感染させたうえ、冬斗にも被害をさせておいて…、もう怒りが抑えられない状態だった。

 殺す。

 エヴリンを殺して、全てを終わらせる。

 私の戦いは、まだ静まる事はなかった。

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