日常
|
文字数: 426
|
コメント: 0
スター・ゲイツ・マテリアル
解析されたWOWシグナルの指先は銀河の果てを示していた。そこに至るバックドアの存在も。そして、その門戸は極めて静謐に隠匿され、路地の奥に埋伏された。何故ならば、われわれの技術ではその重たい扉は開かれない。われわれの栄光のためには全ては塩漬けにする必要があった。なあに、いつか取り戻せばいいことさ。
120年の時が経ち、路地を覆い尽くしていた竹林が枯れ失せたのちに、ネズミの群れの向こう側でそれは再発見されることとなる。まるで回顧展のような態度で、しかしながらふてぶてしくもみえるその扉は、メタファとしての重厚な門戸そのものであった。これがあのバックドアか。歴史的懐疑的遺産を目にして、おそらく発見者は心を震わせただろう。そうだ、そうやって大事なものはきちんと取り戻されるわけだ。
それから、発見者により名前が与えられる。スター・ゲイツ・マテリアル。それがかのものの新しくも唯一の名前だ。そして、このとても奇妙なお伽話の主人公の名前だ。
コメントを投稿するにはログインが必要です。
コメント
コメントはまだありません。