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闇の中の少女

 ここは、光の世界・「シャイナス」。
 特大の光が、土地を照らす。
 だがしかし、その中には僅かな闇が残っている。
 闇の中には、1人の少女がいる。

 クロユキ。

 それが少女の名前だ。


 闇の人間は、光の仲間にはなれない。
 そのためクロユキは、生まれた頃からずっと孤独だった。
 光の人間は、クロユキから避けるようになっていってしまった。
 その光の中に、クロユキに似た少女・シラユキがいた。
 彼女はクロユキの幼馴染だが、犬猿の仲の関係だ。
 シラユキはクロユキとは対称的に、友達か数多くいた。
 ここは光が纏う場所。
 この世界に少しでも闇があると、その闇は敵となる。
 だからクロユキは、光の世界の人間達の敵となってしまっていた。

 クロユキは、そんな世界が嫌いだった。

 時が経つと、シラユキはシャイナスの姫君となった。

 やがて光は強くなり、クロユキは…。


 意識が途絶え、眠りについてしまった─────。



 目が覚めた。
 辺りを見回すと、墓場に着いていた。
 もしかするとクロユキは、何者かに墓場に棄てられたのだろう。

 クロユキは考えた。
 今の光の特権を持っているのは、シラユキだ。
 姫君になったから、自分の思い通りにできる。
 シラユキを始末すれば、特権を奪う事ができる。
 姫君の座を奪う事もできる。
 何とも残酷なやり方だが、殺してでも特権を奪いたい者は、クロユキの他にもいたであろう。
 だがしかしクロユキは、シラユキに勝つ力はまだ持っていない。
 力が弱く脆い、何の個性もない「持たざる者」だ。
 こうして、クロユキの孤独の戦いが幕を開ける。

 この世界を、シャイナスを。


 闇に染めるために─────。

~第零章 闇の中の少女 END~

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