シリーズ | 文字数: 1508 | コメント: 0

Chapter5 狂い出す過去①

 「…ねえ、黒沼?」
 「あー?」
 現在、アジト。
 私は今、大屋軍幹部・黒沼と2人きり。
 そんな中私は、黒沼にやってほしい事がある。
 「ちょっとお願いしてもいいかしら?」
 「何だよ?急に。」
 「これなんだけどぉ。」
 私は、1枚の紙を黒沼に見せた。
 それは私が以前会った人物。
 「それを松浦に見せてほしいの。」
 「これって…、松浦の…?」
 「ええ。そうよ。黒沼も死体は見た事あるでしょ?」
 「まあ、ない事はねえが…。」
 それは私が、ある場所へ襲撃した時の事。
 確か…、8年前だったかしら?
 あの頃の男女の叫び声…、まさに気持ちいいものだったわ。
 「嫌なら私がやるけど?」
 「いや、主将の大屋から頼まれたのなら、断る訳にゃいかねえ。引き受けるよ。」
 「そう?じゃあ終わったらたーっぷり可愛がろうかしら?」
 「…おい、俺を手下達みてえな扱いすんじゃねえ。」
 あらあら、照れちゃって。可愛い♪

 …さて、どんな反応するかしらね?
 目の前で殺されたのだから、相当トラウマになってるでしょうね。
 楽しみだわぁ…♪うふふ♪



《奈那美視点》
 朝が迎えた。
 昨日はかなり疲れたから、ぐっすりと眠れた気がする。
 時刻は午前9時。
 私は起き上がろうとするが、若葉が抱き着いてて起き上がれない。
 「……。」
 だがしかし、そんな若葉を起こす訳にもいかなかった。
 昨日はお互い疲れたからね…。


 「あぁぁぁあねきいぃぃぃぃぃいっ!!!」
 「あぅ!?!?!?」
 「んぅっ…!?」
 私は突然の騒音で驚いた。
 その騒音で、若葉も目を覚ました。


 「もう!人が気持ち良く寝てたのに!」
 「悪かったって!それより、朗報だ。」
 「ん?何?」
 騒音の主は涼介だった。
 結構険しい顔して巣に入ってきたけど…。
 「姉貴達んとこに行く時、劇場前通りでこれを見たんだ。」
 涼介はポケットからスマホを取り出し、画面を見せた。
 画面中央に再生ボタンがあるという事は、動画かな?
 涼介はその動画を再生させた。



 『歌舞伎町にいる皆さん、ご機嫌よう。』
 動画には、劇場前通りにあるモニターの中に、見覚えのある人物が映り込んでいた。
 それは今の事件の黒幕となっている…。


 大屋佐江子だった。
 『今から私からの報告があります。それは…。


 この街を…、真っ赤に染める事!』
 「…!?」
 その言葉で、私の勘が走った。
 大屋の目的は…。


 人々を殺し、歌舞伎町を支配する事だ。

 「あれ?ここで動画止まったけど…。」
 「ああ。それなんだけどよ…。
 実はこの時、突然大屋軍の手下が襲い掛かって来やがった。しかも2人。
 全然どうって事なかったけどよ…。その時いつの間にか、周りは死体で囲まれたんだ…。」
 「そんな…。」
 「目に留まった隙に襲う…。大屋ならその作戦は立てかねないね。」
 「ああ。正直、俺もそう思った。」
 このままだと、本当に歌舞伎町が危険地帯となってしまう。
 これ以上大事になる前に、大屋軍を黙らせなければならない。
 「…何とかするしかないね。」
 「ああ。俺達も黙ってられねえ。」
 「3人で止めよう。」
 多分これが、大屋軍との最後の戦いとなるだろう。
 しかしそれは仮定であり、最後とは限らない事も有り得る。

 大屋…、覚悟しとけよ。

コメント

コメントはまだありません。