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Chapter5 狂い出す過去①

 「…ねえ、黒沼?」  「あー?」  現在、アジト。  私は今、大屋軍幹部・黒沼と2人きり。  そんな中私は、黒沼にやってほしい事がある。  「ちょっとお願いしてもいいかしら?」  「何だよ?急に。」  「これなんだけどぉ。」  私は、1枚の紙を黒沼に見せた。  それは私が以前会った人物。  「それを松浦に見せてほしいの。」  「これって…、松浦の…?」  「ええ。そうよ。黒沼も死体は見た事あるでしょ?」  「まあ、ない事はねえが…。」  それは私が、ある場所へ襲撃した時の事。  確か…、8年前だったかしら?  あの頃の男女の叫び声…、まさに気持ちいいものだったわ。  「嫌なら私がやるけど?」  「いや、主将の大屋から頼まれたのなら、断る訳にゃいかねえ。引き受けるよ。」  「そう?じゃあ終わったらたーっぷり可愛がろうかしら?」  「…おい、俺を手下達みてえな扱いすんじゃねえ。」  あらあら、照れちゃって。可愛い♪  …さて、どんな反応するかしらね?  目の前で殺されたのだから、相当トラウマになってるでしょうね。  楽しみだわぁ…♪うふふ♪ 《奈那美視点》  朝が迎えた。  昨日はかなり疲れたから、ぐっすりと眠れた気がする。  時刻は午前9時。  私は起き上がろうとするが、若葉が抱き着いてて起き上がれない。  「……。」  だがしかし、そんな若葉を起こす訳にもいかなかった。  昨日はお互い疲れたからね…。  「あぁぁぁあねきいぃぃぃぃぃいっ!!!」  「あぅ!?!?!?」  「んぅっ…!?」  私は突然の騒音で驚いた。  その騒音で、若葉も目を覚ました。  「もう!人が気持ち良く寝てたのに!」  「悪かったって!それより、朗報だ。」  「ん?何?」  騒音の主は涼介だった。  結構険しい顔して巣に入ってきたけど…。  「姉貴達んとこに行く時、劇場前通りでこれを見たんだ。」  涼介はポケットからスマホを取り出し、画面を見せた。  画面中央に再生ボタンがあるという事は、動画かな?  涼介はその動画を再生させた。  『歌舞伎町にいる皆さん、ご機嫌よう。』  動画には、劇場前通りにあるモニターの中に、見覚えのある人物が映り込んでいた。  それは今の事件の黒幕となっている…。  大屋佐江子だった。  『今から私からの報告があります。それは…。  この街を…、真っ赤に染める事!』  「…!?」  その言葉で、私の勘が走った。  大屋の目的は…。  人々を殺し、歌舞伎町を支配する事だ。  「あれ?ここで動画止まったけど…。」  「ああ。それなんだけどよ…。  実はこの時、突然大屋軍の手下が襲い掛かって来やがった。しかも2人。  全然どうって事なかったけどよ…。その時いつの間にか、周りは死体で囲まれたんだ…。」  「そんな…。」  「目に留まった隙に襲う…。大屋ならその作戦は立てかねないね。」  「ああ。正直、俺もそう思った。」  このままだと、本当に歌舞伎町が危険地帯となってしまう。  これ以上大事になる前に、大屋軍を黙らせなければならない。  「…何とかするしかないね。」  「ああ。俺達も黙ってられねえ。」  「3人で止めよう。」  多分これが、大屋軍との最後の戦いとなるだろう。  しかしそれは仮定であり、最後とは限らない事も有り得る。  大屋…、覚悟しとけよ。

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