旧祭り | 文字数: 1371 | コメント: 0

Heard a call for help①

うまく/いかない/もうすぐ始まる/ようこそ/止まらない/タイムマシン/罠/
ふつうではない/考える/もうやめた/バナナの皮/殺人事件

 何も鴨が旨くないってわけでなく、僕はいますぐ行かないといけないんだ。
 10分前に戻る隊務が打診されているんだ。止まらないマシンにのってもうすぐ始まる怪獣ショウに殴り込みをかけるんだ。
 
 意気揚々と行くかコソコソと行くかは君の判断に任せるけど、できれば派手なのがいい。殺人事件に駆け付けるケーリー・グラントみたいに映えるやつさ。
 ヒーローは罠に引っかかり、普通ではない方法でピンチを脱出する。

 そんなシナリオが僕を待っている。
 どうやって? そんなことを考えるのはもうやめた。
 きっと朝食の場面がヒントになってくれるよ、ミックスジュースの材料が伏線だ。バナナの河なんておしゃれじゃないか怪獣をミシシッピまで流してしまおう。
 誰かがきっと僕等の助けを待っているからね。


うまく/いかない/もうすぐ始まる/ようこそ/止まらない/タイムマシン/罠/

 上手く行かないときは空をみる、できれば夕方か夜が良い。
 私の胸は3.4本くらいのインクの染みが広がってもう収集がつかない。
 私の羞恥心と悪意は真っ黒ではなく薄い赤色だ。

 解決策は実は一つだけある。それがもうすぐ始まる。
 ううん、始めるの、蔓で編んだはしごにワシの爪を付けて投げつけると空に引っ掻かる。

 下は視ずに登ると、雲でできたマンホールの蓋をしたから開ける。
 朱い月がようこそと私を照らす。

 ええと、どこだっけな? 落ちるともう止まらないから慎重に雲を歩く。
 
 タイムマシンが置いてあった。これに乗れば万事解決、私のインクが取れなくなる前に戻ろう。
 ……まぁ、そんなことはもう手をくれだからできないよね、だって、それって今の私がいなくなるってことだもん。
 神様は残酷だなぁ、これって罠じゃない?
 バットを持って振り下ろした。
 コントロールパネルはバカみたいな数字を並べて火花を散らした。

 あら、綺麗ね。
 
 このままここで、インクと一緒に空に消えるのだ。
 それだけが私の救い。
 月だけが私の友達。

ふつうではない/考える/もうやめた/バナナの皮/殺人事件

 苦しいと思ったのは、多分ダメだと決めつけてしまったから
 ふつうではないと、ホワイトボードが糾弾してくる。
 そんなことはもうわかっていた。
 でも、思うだけなら自由じゃないの?
 バレなければセーフにならない?
 ダメか、ダメよね。せめて私達が苺だったなら
 二人でいっしょに赤くなっても誰にも指をさされなかったのに。
 火に寄る蛾のような私なら燃えてしまえるのに。
 なんて、考えるのはもうやめた。
 
 苦しいと思うのは、私が間違いだとわかっているから
 わかってなんて、誰にも言わなないから。せめて今だけは一緒に居させて。
 蛾のように落ちて、死ぬから、安心してね。
 多分だれも気づけないと思うわ。
 
 バナナの皮が捨ててあっても誰も殺人事件と思わないでしょ。
 それって私らしさの抜け殻なの。 

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