恋愛 | 文字数: 378 | コメント: 0

雨だけど、そこに行く

まるで恋愛のような恋愛が終わる。あたしはあなたに電話する。そうするとあなたは今すぐここに来てくれることを知っている。「雨だけど、そこに行く」 、そうあなたは言ったので、あたしは安心してここにいる。

やがてあなたがやってくる。あなたは傘をさしている。当たり前だ、だって雨なのだから。あたしは恋愛の女王さまで失恋だ。だからあなたはあたしを馬鹿にして傘を差し出す。とてもちいさなハンカチをあたしの頬に当ててくれる。夜は身近だが、あなたは遠い。そしてあたしのあなたに対する心も遠いのだ。でもあたしはずるいので、あなたを抱きしめる。それはあたしが気持ちよくなりたいから。あなたもあたしをぎゅっとする。すごくありがとうと思う。すごくあなたがいてくれて嬉しい。ほんとうに嬉しいという気持ちは嘘ではないけど、あたしは恋愛の女王さまで失恋になんて負けるわけはない。

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