旧同タイトル
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文字数: 597
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考えるのはもうやめた
この暑さをどう凌ぐべきか。
* * *
「はい!エアコンをつけたいです!」
末っ子の須恵は元気よく手を上げ、その一手を投じた。
「却下。電気代かかりそう」
その意見を、真ん中の真央がバッサリと切り落とした。
「はい、アイスが食べたいです」
下から2つ目の三恵も意見を出してみる。
「却下。お菓子だけでお小遣い全部無くなっちゃう」
これも真央に切り捨てられる。
「じゃあ真央は何か策がある?」
長女の長江に促され、真央は頭を少し抱えた。
「…うちわ、とか」
「却下ー!腕がつかれちゃうよー!」
妹たち2人に即座に切られ、口をすぼめた。
四姉妹は外でギラつく太陽とジメジメとした空気を睨みながら、この猛暑を乗り切る算段を立てていた。
しかし最年長14歳、最年少4歳の会議は一向に進まない。
「お姉ちゃんは扇風機とか良いと思うけどなぁ」
「あたり過ぎはよくないんだよ?扇風機も危ないもん」
「えーん!暑いものは暑いのー!アイス食べたいアイス食べたいー!」
三恵がとうとう泣き出してしまう。この事態にはさすがの真央も動揺した。
長江はこれを幼いながらに金庫番である真央を言いくるめる好機と見た。
「ねえねえ、真央。暑い中であんまりガマンしちゃうと、熱中症になっちゃうんだって」
結局四姉妹は、策を弄するのをやめてエアコンをつけてアイスを食べた。
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