とある９月の朝礼での事。

えっほん！

諸君、もう薄々感じているだろうが、商いが立ち行かなくなっている。

このままだと、来月１０月には資金がショートしてしまい、倒産してしまうだろう。

そこでだ！

突然で申し訳ないが、来月１０月はカットさせてもらう。

「ふざけんなー」
「どうやって生活しろってんだー」

朝礼に集まった人達は、こぞって文句を言った。

えっほん！
諸君、静粛にしたまえ！

私は悪くない！悪くないんだ！コロナのせいで、業績が悪化したのだ。悪いのはコロナだ！文句はコロナに言え！また、こうでもしなくては、組織を存続できないのだ！理解と協力をお願いする。

「おい、コロナのせいにするなよ」
「トップが無能だから、こうなったのよ」
「辞任しろー」
「そうだー、そうだー」
「じーにん、じーにん！」

朝礼場に、じにん、の大合唱が起きた。

黙れ！
おい、給料泥棒ども！
ワシに責任を追求するが、お前たちはどうや？
毎日、ちんたらちんたらと、大した働きもせんと、何も良案を出さず、ボーとしてて、お前らが無能やからこうなったんやー
ワシだけのせいにすなやー！
もう、完全に切れたでー！
カットやー言うたら、完全にカットやー
覚悟しいや！

そう唾を撒き散らかして、ドアを蹴り開けて、大股歩きで出て行った。

残された者たち
「おわたなココ」
「辞めるにしても、アイツだけは許せん！」
「何とかして、一泡ふかしたいな」

コソコソ

【？月】

おい、どうなってんねん、カレンダーが１１月やないか？

「え？」

カレンダーが間違えとるやないかー、今は１０月やのに、１１月のカレンダーなっとるやないけー

「なに言うてはりますのん？今は１１月でっせー！　頭おかしゅうならはったんでっかー？」

はあ？

慌てて、携帯を見る。

な、なんやとー！

携帯の、時は１１月になっていた。

な、なんでやー！
なんで、１１月なってんねん！

ニヤニヤした者達のひとり
「おい、オッサン！今は１０月と違うでー、１１月や！分かってるやろなー！１１月やから、きっちり、払ろーてもらうでー！」

オッサンは、訳も分からず、凍りついたのだった。