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Chapter2 仲間①

 現在、午前7時。
 いつもなら遅く起きるのに、今日は珍しく朝早くから目が覚めた。
 私は巣の中で、スマホの画面を覗いていた。
 昨日の事件が、早速ニュースとなっている。
 あのビルで一般の女の人が、大屋によって殺された件。
 きっと記者がそれを聞いて、ニュース記事に載せたのだろう。
 仕事が早い。

 若葉は、隣で寝息を立てている。
 若葉の可愛い寝顔は、幼い頃から変わらない。
 そっと優しく撫でると、猫のように身体を丸める。
 こんな姉の元に、こんな可愛い妹ができて、本当に良かったと思う。



 「…気晴らしにどこかぶらつこうかな。」
 若葉を巣で寝かせておき、私は外に出る。
 朝の街は静かだ。
 少々吹く風が心地良い。
 流石夏って感じだ。

 (そうだ、朝食を買っていこうかな。コンビニににでも行こうか。)
 私はそう心の声で呟き、いつも行っているコンビニへと足を運んだ。



 「いらっしゃいませー。」
 朝早くからお疲れ様です。
 確か若葉は、「甘酸っぱレモンブレッド」が好きだったはず。
 ついでにレモンティーでも買っていこうかな。
 それだけ若葉は、酸っぱい物が大好きって事。
 私はいつものメロンパンをかごに入れる。
 お、これ最後の1個じゃん。ラッキー。
 私はそのメロンパンをかごに入れ、レジへ向かおうとした。

 その時だった。


 「おい、待てやコラ。姉ちゃん。」
 「…ん?」
 突然、後ろから呼びかけられた。
 そこにいたのは、ガラの悪い男がいた。
 「お前今メロンパンかごに入れたな?だがそいつは俺によこせや。」
 「…は?何でです?」
 「それ最後の1個だろ?俺が食いてえ時に取ったお前が悪い。」
 なんか、メロンパン取った事で喧嘩売られたんだけど。
 ここは言い返してみるか。それでもダメだったら…。

 「…いや、あなたより先に私が食べたいと思ったんですが。違いますか?」
 「あぁ?」
 「それにメロンパンなんて、他のお店にも売ってるでしょ?ここのメロンパンを独り占めする気なんですか?」
 私はそう強がって言い返してみたが、その男に言い返すのも安易ではなかった。
 「…どうしても渡さねえなら、力ずくで奪ってやるよ。
 それでおあいこだろ?」
 ……。

 「…はぁ…。


 何がおあいこなんだか…。」
 「あ?」
 もう私の感情は、怒りを通り越している。
 我慢の限界が来ていた。
 「…あんたみたいなのは、これ以上口出ししても何も進まない。
 表に出ろ。」
 私は、そう言って自動ドアの前にかごを置き、外に出た。
 「…上等じゃねえか。」


 「さて、てめえをさっさと殺して、メロンパン奪ってやるぜ!」
 「…そう簡単にできると思わない事ね。」
 私はそう言うと、鬼薙刀を構える。
 もちろん鞘付きで。
 マナーっていうのを教えてやろう。

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