Chapter2 仲間②
「ぐふっ…!」 「まだやる?」 「クソが…!」 そろそろ限界って感じ? 「メロンパンが欲しかったら、このコンビニにこだわらずにあちこち店を回ってこい。」 「くそ!覚えとけよ!!」 …あ、逃げた。 それにしても…、お店の人に迷惑かけちゃったかな…。 「すみません、さっきは表で騒いでしまって…。」 「いえ、大丈夫です。幸い彼もいなくなった事だし…。」 「とりあえず、お会計お願いします。」 「若葉~、ただいま~。」 「う…ん…?」 巣に戻って若葉を呼ぶと、若葉は目を覚ました。 まだ眠そうなとろんとした目に、私はちょっと可愛いと思ってしまう。 「朝食買ってきたよ。ほら。」 私は買ってきた甘酸っぱレモンブレッドとレモンティーを袋から取り出した。 「ん…、レモン…。」 「まったく、相変わらず寝ぼけがすごいんだから…。」 レモンブレッドを取ろうと、眠い目を擦りながら手を伸ばす。 物を欲しがる赤ちゃんみたいで、物凄く可愛い。 本当に、若葉は癒しって感じ。 「どう?目は覚めた?」 「うん。レモンのおかげでね!」 「ふふっ、レモンは若葉の元気の源だね。」 若葉はいつもレモンを食べるとご機嫌になる。 なんか、そういう二次元の人物がいた気がする。 「そういえばお姉ちゃん、殺人事件の件だけど…。」 「ん?」 「もうニュースになってるって、知ってる?」 ああ、なんだ、その事か。 「それはもう若葉が知る前に知ったよ。」 「ふぇ?」 「若葉が起きる前からそのニュースは見た。 だって若葉その時、猫みたいに寝てたもん。」 「……///」 ん?そこは赤面する所なのかな? まあいいや。可愛いし。 「お姉ちゃん、やっぱり大屋を追うの?」 「…当たり前でしょ?放っておいたらこの歌舞伎町が危なくなるだけだよ。 そんな場面見るより、自分達で何とかするしかない。私はそう思うよ。」 「……。」 大屋の件…あそこで起きた殺人事件が、大屋の目的とは限らない。 大屋は他にも人を殺すだろう。私はそう考えている。 あの時私と若葉が挑んだ時も、普通の人間とは思えない動きをしていた。 あんなのを放っておいたら、たまったもんじゃない。 「…本当にいいんだね。お姉ちゃん。」 「ん?」 「後悔はしない?」 「……。 …後悔だったら、やるだけやった後にするよ。」 「…そっか。」 「何で?」 「いや、聞いてみただけ。 お姉ちゃんがそう言うなら、私は止めないよ。 でも私も、できるだけお姉ちゃんをサポートしたいから。」 「…ふふっ、頼りにしてるよ。」 さて、そうと決まれば大屋を追う所から。 でもいきなりは無理だから、何か居場所がわかるものがあればいいんだけど…。 「うぅ~ん!あぁ~…。」 若葉は外に出ると、大きく背伸びをする。 …薄々気になってたんだけど…。 『お姉ちゃん…、結構胸元膨らんだ?』 『…は?』 『お姉ちゃん身長も伸びたし、胸元も…。』 『…ちょっと、それはここで話すものじゃないよ。』 『えぇ、だって気になるじゃんか。』 昨日の事を思い出してた。 「胸元が膨らんだ」…。その言葉で気付いたんだけど…。 …若葉もそうなんじゃないかな?まだ私のより小さいけど…。 …て考えたらなんか興h…。 「ん?お姉ちゃん、どうかした?」 「え?あ、いや、何でもないよ。」 「ふぅん…。」 危ない、バレる所だった。 昨日その事を話したばかりだから、からかわれる所だった。 若葉は甘え上手であり、からかい上手でもあるからなぁ…。 下手したらすぐにからかわれる。うん。 お姉ちゃんは大変なんです…。 グシャッ!! 「!?」 『う、うわあぁーーーーーっ!!!』 「何!?」 「……。」 どこからか、鈍い音がした。 街中で叫び声がどこもかしこも聞こえてくる。 さっきの音が聞こえた方へ行くと、何かで潰れたような死体があった。 「お姉ちゃん、あれ!」 若葉が奥の方へ指を差す。 そこにいたのは、何やら武装した2人組だった。 「あれは…!?」 見た感じ、いかにもヤバそうな雰囲気が漂っている。 1人はハンマーを持ち、もう1人は長刀を持っている。 多分さっきの死体は、あのハンマーの奴にやられたものだと思う。 私は、足を前へ運び出す…。 「お姉ちゃん…?」 「行くよ。若葉。放っておいたら危険が広がる。」 「……。」 もう覚悟は決めている。 街を守るためなら、死んだっていい。 「あ?何だてめえ。」 「さっきの人殺したの、あんたでしょ?」 「…あ?」 私は睨み付けながら、彼らにそう問い出す。 「…やっぱり。そんな事だと思った。 なら尚更あんたらを始末した方が良さそうだね。」 「こいつ、何モンだ?」 「さあな。だが、殺しておいた方が良さそうだ。」 彼らはそう言うと、武器を構える。 これは…、鞘から刃を出した方が良い相手かな? 「お姉ちゃん…。」 「…普段は刃出してないけど、こいつらは違う。 あっちが殺す気なら…。 こっちも同じ手だ!!」 さあ、やってやろうか。 死とはどういうものかを味わせてあげるーーー。
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