シリーズ | 文字数: 2381 | コメント: 0

Chapter2 仲間②

 「ぐふっ…!」
 「まだやる?」
 「クソが…!」
 そろそろ限界って感じ?
 「メロンパンが欲しかったら、このコンビニにこだわらずにあちこち店を回ってこい。」
 「くそ!覚えとけよ!!」
 …あ、逃げた。
 それにしても…、お店の人に迷惑かけちゃったかな…。


 「すみません、さっきは表で騒いでしまって…。」
 「いえ、大丈夫です。幸い彼もいなくなった事だし…。」
 「とりあえず、お会計お願いします。」



 「若葉~、ただいま~。」
 「う…ん…?」
 巣に戻って若葉を呼ぶと、若葉は目を覚ました。
 まだ眠そうなとろんとした目に、私はちょっと可愛いと思ってしまう。
 「朝食買ってきたよ。ほら。」
 私は買ってきた甘酸っぱレモンブレッドとレモンティーを袋から取り出した。
 「ん…、レモン…。」
 「まったく、相変わらず寝ぼけがすごいんだから…。」
 レモンブレッドを取ろうと、眠い目を擦りながら手を伸ばす。
 物を欲しがる赤ちゃんみたいで、物凄く可愛い。
 本当に、若葉は癒しって感じ。


 「どう?目は覚めた?」
 「うん。レモンのおかげでね!」
 「ふふっ、レモンは若葉の元気の源だね。」
 若葉はいつもレモンを食べるとご機嫌になる。
 なんか、そういう二次元の人物がいた気がする。

 「そういえばお姉ちゃん、殺人事件の件だけど…。」
 「ん?」
 「もうニュースになってるって、知ってる?」
 ああ、なんだ、その事か。
 「それはもう若葉が知る前に知ったよ。」
 「ふぇ?」
 「若葉が起きる前からそのニュースは見た。
 だって若葉その時、猫みたいに寝てたもん。」
 「……///」
 ん?そこは赤面する所なのかな?
 まあいいや。可愛いし。

 「お姉ちゃん、やっぱり大屋を追うの?」
 「…当たり前でしょ?放っておいたらこの歌舞伎町が危なくなるだけだよ。
 そんな場面見るより、自分達で何とかするしかない。私はそう思うよ。」
 「……。」
 大屋の件…あそこで起きた殺人事件が、大屋の目的とは限らない。
 大屋は他にも人を殺すだろう。私はそう考えている。
 あの時私と若葉が挑んだ時も、普通の人間とは思えない動きをしていた。
 あんなのを放っておいたら、たまったもんじゃない。
 「…本当にいいんだね。お姉ちゃん。」
 「ん?」
 「後悔はしない?」
 「……。

 …後悔だったら、やるだけやった後にするよ。」
 「…そっか。」
 「何で?」
 「いや、聞いてみただけ。
 お姉ちゃんがそう言うなら、私は止めないよ。
 でも私も、できるだけお姉ちゃんをサポートしたいから。」
 「…ふふっ、頼りにしてるよ。」
 さて、そうと決まれば大屋を追う所から。
 でもいきなりは無理だから、何か居場所がわかるものがあればいいんだけど…。



 「うぅ~ん!あぁ~…。」
 若葉は外に出ると、大きく背伸びをする。

 …薄々気になってたんだけど…。


 『お姉ちゃん…、結構胸元膨らんだ?』
 『…は?』
 『お姉ちゃん身長も伸びたし、胸元も…。』
 『…ちょっと、それはここで話すものじゃないよ。』
 『えぇ、だって気になるじゃんか。』


 昨日の事を思い出してた。
 「胸元が膨らんだ」…。その言葉で気付いたんだけど…。


 …若葉もそうなんじゃないかな?まだ私のより小さいけど…。

 …て考えたらなんか興h…。

 「ん?お姉ちゃん、どうかした?」
 「え?あ、いや、何でもないよ。」
 「ふぅん…。」
 危ない、バレる所だった。
 昨日その事を話したばかりだから、からかわれる所だった。
 若葉は甘え上手であり、からかい上手でもあるからなぁ…。
 下手したらすぐにからかわれる。うん。
 お姉ちゃんは大変なんです…。



グシャッ!!
 「!?」

 『う、うわあぁーーーーーっ!!!』
 「何!?」
 「……。」
 どこからか、鈍い音がした。
 街中で叫び声がどこもかしこも聞こえてくる。
 さっきの音が聞こえた方へ行くと、何かで潰れたような死体があった。
 「お姉ちゃん、あれ!」
 若葉が奥の方へ指を差す。

 そこにいたのは、何やら武装した2人組だった。
 「あれは…!?」
 見た感じ、いかにもヤバそうな雰囲気が漂っている。
 1人はハンマーを持ち、もう1人は長刀を持っている。
 多分さっきの死体は、あのハンマーの奴にやられたものだと思う。
 私は、足を前へ運び出す…。
 「お姉ちゃん…?」
 「行くよ。若葉。放っておいたら危険が広がる。」
 「……。」
 もう覚悟は決めている。
 街を守るためなら、死んだっていい。


 「あ?何だてめえ。」
 「さっきの人殺したの、あんたでしょ?」
 「…あ?」
 私は睨み付けながら、彼らにそう問い出す。
 「…やっぱり。そんな事だと思った。
 なら尚更あんたらを始末した方が良さそうだね。」
 「こいつ、何モンだ?」
 「さあな。だが、殺しておいた方が良さそうだ。」
 彼らはそう言うと、武器を構える。

 これは…、鞘から刃を出した方が良い相手かな?

 「お姉ちゃん…。」
 「…普段は刃出してないけど、こいつらは違う。
 あっちが殺す気なら…。


 こっちも同じ手だ!!」

 さあ、やってやろうか。


 死とはどういうものかを味わせてあげるーーー。

コメント

コメントはまだありません。