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Chapter3 暗夜②

 チーム名を決めた後、私達は巣から出る。
 下水道の水が流れる音が響き渡る。
 「とりあえず今の松浦軍は、大屋と繋ぐものを探り出せばいいだけだよな?」
 「できればそうしたいね。」
 「繋ぐものっつったら…、大屋が残しそうなものか何かか…。」
 まあ繋ぐものって言っても、まともな証拠がなければ意味がない。
 「まあここで考えていても仕方ねえ。外出て探ってみるか?
 もし奴らが来たら倒してもいいし。」
 「まあ、そうだね。早いとこ終わらせよう。」
 そう言って、私達は外に出た。



 かれこれ数分。
 裏路地に行ってみても、何も見つからないまま。
 「どっかに足跡残してねえかな?」
 「それっぽいのが見当たらないね…。」
 足跡なぁ…。
 本物の探偵だったら、それをすぐに見つけられるのかもね。
 そうこうしているうちに、私はある事に気付く。

 「…ねえ、気のせいかな?」
 「んあ?」
 「何か…、じっと見られてる感じがするんだけど…。」
 薄々だが、目の見えない何かに見られてる感じがする。
 若葉や涼介も、辺りを見回してる。

 これはもしや…。


 「おぉーーー!!」
 「!?うおっ!?」
 咄嗟に上を見上げた。
 誰かが雄叫びを上げ、何かが降ってくる。

 「あいつら…!」
 「だよね。奴らは…。」
 そう。私も誰なのかわかった。


 大屋軍だ。しかも2人。
 「まさかとは思ったけどな…。」
 「覚悟ーーー!!」
 奴らから殺気立つオーラが漂ってくる。
 じっとしていられない。ここを早く安定させないと!



 「ぐっ…!くそ…!」
 「まだやるか!?あぁっ!?」
 3対2では流石に奴らは敵わないだろう。
 それくらい余裕だった。
 主将である大屋が一番手強いって事かな?

 「ったく…、どこにいても油断できねえな。」
 「安心するのはまだ早いよ。大屋軍はあと何人いるかわからない。」
 「それじゃあ、あと何十人はいるのかな…。」
 「最悪の場合そうなのかもね。だから気は抜かないでね。」
 大屋軍はそれほどの人数がいると思う。
 いつどこで遭遇するのかもわからない。
 災害と同じだ。
 「行こう。」



 それから長時間探索したけど…。
 「ろくなもん見つかんねえな…。」
 涼介の言う通り、大屋と繋ぐものがまだ何一つ見つからない。
 どこかに隠し持ってるのだろうと考えられる。
 「もしかすると、大屋は歌舞伎町にいないとか?」
 「そんな感じもするね。」
 うーん、考えにくいけど、その可能性もありそう。
 まだまだわからないものだらけだ。
 「もうこの際、二手に分かれて探すしか……。」
 その瞬間、私は気配を感じた。


バンッ!
 「…!あっぶな!?」
 銃声が聞こえた。
 気のせいじゃない。本当の音だ。


 「…勘がいいな。やっぱ凄腕は甘くねえな。」
 その声は男だ。
 「…あんたは?」
 「俺か?俺はな…。


 黒沼絢人(くろぬま あやひと)だ。よろしく頼むぜ。」

 「…黒沼?」
 その男は、黒沼と名乗った。
 見るからに怪しい感じがする。
 すると、涼介が口を開く。


 「あいつは…、大屋軍幹部だ。」
 「大屋軍…幹部…?」
 「こいつは大屋の2番目に強い。見てわかるだろ?
 銃を持ってる。それに照準力がバケモン並みだ。」
 涼介は、黒沼について話してくれた。
 何故そこまで知っているのだろうか?と思ったけど、それを考えるのは後にしておく。
 「へえ、よく知ってるじゃねえか。
 だがよ、ここにいるのは俺だけじゃねえぜ?」
 「…え?」
 黒沼がそう言うと、私達は辺りを見回す。
 もうすでに、大屋軍が私達を囲んでいた。
 「どうするよ?姉貴。」
 「…そんなの決まってる。


 大勢に囲まれたのなら、その囲いを打ち破るだけだ!」

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