Chapter4 血戦④
《奈那美視点》 「はぁ…!はぁ…!」 「どうだ?姉貴!」 慌てて外に出て、息が荒くなった。 「若葉!!」 辺りを見回して若葉を呼んでみる。が、若葉の姿がどこにもない。 「若葉…、どこに…。」 「落ち着け、姉貴!きっとどこかにいるはずだ!」 「だといいけど…!」 若葉は、私の大切な家族。 それがどこにもいなければ…、私はまた家族を失う事になる。 もうそれはしたくないって決めたのに…。 ♪~ 「…!」 突然、私のスマホの着信が鳴った。 画面には、「松浦若葉」と書いてあった。 「…若葉…!?」 とりあえず私は、電話を掛けてみる。 「若葉!どこにいるの!?」 私はスマホを耳に当て、話しかける。 が、声の主は若葉ではなかった。 『…松浦奈那美、さっきぶりね。』 「…!あんた、まさか…。 大屋…!?」 そうスマホから聞こえる声の主は、大屋佐江子だった。 「あんた…!妹に何してるの!?」 『そんな怒らないで。ちょーっと借りてるだけだから。』 「はあ?借りてるって、監禁してるんだろ!?」 「若葉を監禁だと…?」 間違いない。 若葉がいない理由は、大屋が捕まえたからだ。 くそ!何であの時気付けなかったんだ! 「大屋!あんたはどこにいるの!若葉は無事なんだろうね!?」 『さーて、それはどうかしらね。縄で縛ってるのは間違いないけど♪』 「お前…!!」 『何よ、そんなドスの効いた声して。せっかくの可愛い声が台無しよ?』 「黙れ!!お前は今どこにいる!!」 『あんたがこの前訪れた殺人現場にいるわ。もう知ってる場所でしょ?』 それは、涼介が仲間に入る前に訪れたビルだ。 今でも覚えてる。 「…わかった。でも、若葉に手を出したら許さないから。」 『はいはい、妹ちゃんの心配より自分の心配したら? でも助けに行くなら、ちゃんと死ぬ覚悟持ちなさいよ。』 「…言われなくてもわかってる。逃げんなよ。」 私はそう告げて、電話を切った。 「…姉貴、俺も行くぜ。」 「うん。そうだと助かる。」 「若葉は俺の大事な仲間だ。そんな奴が監禁されたら、黙ってられねえよ。」 「ああ。そうだね。とりあえず付いて来て。現場まで案内するから!」 私は涼介と同行し、大屋のいる殺人現場のビルまで走り出した。 「ここだよ。大屋はここにいる。」 大屋が事件を起こしたビルに辿り着いた。 「結構高えな。こん中に大屋がいるって訳か。」 「大屋はそう言ってた。行くよ!」 若葉、待ってて。今助けに行くからーーー。 バンッ! 勢いよく出入口の扉を開ける。 「松浦だ!」 「西園寺もいるぞ!」 どうやら待ち構えていたみたい。 でもこっちも準備万端。 「姉貴。」 「ああ。わかってる。 行くぞぉっ!!」 私は斬裂刀を構える。 1人残らず始末してやるーーー。 「姉貴、まだ奥にもいるみてえだ。」 涼介の言う通り、大屋軍の手下達はまだまだいるみたいだ。 「大丈夫。やる事はただ一つだから。」 「へっ、行くっきゃねえよな!」 もう一刻も早く若葉を助けないと、若葉に危険が迫るだけだ。 薙ぎ倒しながらも、全速力で駆け抜ける。 「あそこの扉、守衛がいるみたいだな。」 「…となると…、あそこに大屋と若葉が!」 守衛があの扉の近くにいる。 あそこまで走り出そうとしたその時…。 「待ちやがれ松浦!西園寺!!」 「くそ…!」 この、肝心な時に…! 「姉貴、先行け!ここは俺が食い止める!」 涼介は私の前に立ちはだかり、後ろから追っている手下を止めようとする。 「でも…!」 「いいから先行けっての!若葉は姉貴の大切な家族だろ!?」 「……。」 涼介の身も心配だけど、ここは言う通りにするしかない。 「…わかった。死ぬんじゃないよ。」 「言われなくてもわかってる。」 私はそう告げ、涼介を置いて守衛の所へ向かった。 「おいてめえらぁ!!てめえらの相手はこの西園寺涼介だオラァ!!!」 「あ?てめえは…、松浦!?」 「あんたらが守衛頼まれてるって事は、大屋はここにいるんだね?」 「ふん、確かにいるけどよ…。佐江子様の邪魔はさせねえぜ? 今すぐぶっ殺してやる!!」 2人相手なら、斬裂刀を使おう。 無数の血が飛び散る中、私は手下を斬る…。 斬るーーー。 斬りまくる!! …ここまで来れば、ちょろいもんだよ。 バンッ! 扉を開けた先は、だだっ広い大部屋。 ここは…、飲食ルームだろうか。 沢山の椅子やテーブルが並べられている。 「…!若葉!」 奥には若葉がいた。 真正面からは見えないが、手首を縄で縛られてるみたい。 「ん…、…!お姉ちゃん…!」 若葉はゆっくりと目を開け、私がいる事に気付いた。 「え…?何これ…。私、縛られてる…?」 「大丈夫、今助けるから。」 若葉は、気を失ったまま大屋に連れて行かれたのだろうか。 そう思いながら若葉に近付こうとした時だった。 「あら、もう来てたのね。松浦。」 「…!」 声のした方へ向くと、大屋が姿を現した。 「西園寺は?一緒じゃないの?」 「そんな訳ないじゃん。 あんた、何は考えてるの?妹を監禁させて。」 「別に監禁した訳じゃないわよ。ただあんたの妹の目を瞑った顔が見たかっただけ♪」 「嘘つけ!あんたの考えてる事はもうお見通しなんだよ! そうやって私の見えない所で、こっそり妹を殺そうとか考えてたんだろ!?」 私は、絶対に妹をこんな目に遭わせたくなかった。 私は、両親を失った身だ。 ましてや妹まで失わせる訳にはいかない。 「はぁ…。あんたみたいなのはすぐに口止めしないとダメね。 妹を返してほしかったら、まず私を止めなさい?」 「…言われなくてもわかってるよ。そんなの。」 「ただ、今回はうまくいくかしらね?」 大屋はそう言って嘲笑うと…。 ジャキンッ! 「…!」 大屋はなんと、ショットガンを所持していた。 今回は刃物じゃないのか。 「今回はこれで殺してあげる。」 私は迷わず、鬼薙刀を構えた。 「あんたの何もかもに…、 …風穴を開けてあげる!!」 さあ、ショットガンを所持した大屋はどのくらいの強さなのか。 受けて立ってやる!
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