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123番ゲート(下)

盆休み、関空に着いた聡はロンドン行きのチケットを窓口に渡し、搭乗手続を済ました そして一番端の122番ゲートへの急いだ 関空のゲートはロンドン行きの122番までだが、検索したサイトによれば12時00分に一瞬だけ123番ゲートが現れるとのこと その一瞬に現れる123ゲートを通れば、淳子がいるだろうあの世へと向かう飛行機に乗れるとのことであった また、運賃についてはロンドン行のチケット代でまかなえるとのことだった 122番ゲートに着いた 12時になった 先ほどまで壁であったところに、突如黒い染みができた これが、いわゆる関空の123番ゲートとのことである 聡は急いでその染みに飛び込んだ 聡は飛行機の入場口に転がり出た 立ち上がり見渡すと機内は通常の飛行機と同様の造りであったが、他の乗客やスチュワーデスはおらず無人であった 聡は調べたサイトを信用し、適当なシートに腰掛け、ベルトを締めた スチュワーデスもいなければドリンクのサービスもないが、離陸時等の機内のアナウンスだけはあった 聡がシートでひと眠りしているうちに飛行機はあの世空港に着陸したようだった 機内の出口には黒い染みができ、そこに飛び込むと空港内のゲートに転がり出た 周囲を見渡す なるほどあの世空港はサイトに記載の通り関空と同じ構造のようであった ただし、機内同様、空港内には誰一人おらず無人であった 出口だけを示す看板がところどころに掲げてあり、聡はその案内に従い進むと出口へと出ることができた 空港の出口の外には眩いばかりの風景が広がっていた 辺り一面には花が咲き、木は茂り、蝶が舞い、甘い香りが漂っていた 近くには小川にあり、その側に人の形が見えた 聡はそこへ近づいた 「山田淳子を探しているのですが、知りませんか」 「山田淳子さんなら、その山の中の池のほとりに住んでいますよ」 聡は指された山道を嬉々として登った しばらくすると突然大きな池が目の前に現れた 池には蓮の葉や花が浮いており、森の木陰から差し込む光が金色に輝き、そこはとても幻想的な場所あった 池のほとりには、家が見えた 聡はその家に近づくと、柵の外から赤レンガの可愛い家と洋風の庭を見ることができた 庭には大きな木の横に白い長椅子があり、ちょうど二人が横並び座っていた 一人は、フィアンセだった淳子であり、もう一人は見知らぬ男性であった 男性の右腕は淳子の腰にあり、淳子は目を瞑り男性に首をもたげていた その様子から、聡は淳子は天国で新しい人を見つけ幸せにしていることを悟った 聡はもと来た山路を下り、あの世空港に引き返すと、一番端の122番ゲート横の壁にできた黒い染みに勢いよく中へと飛び込んだ END

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