旧祭り
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恋、それともストーカー
カフェの窓際のテーブルの上のスマホがプルプルなる。
もしかして、とルルは思う。
もしかしてトニーからの電話かもしれない。
いやきっとお父さんが私の帰りが遅いのを心配してかけてきているにちがいない。
父は20歳の娘がまだ小学生であるかのように心配なのだ。
元号だって令和に変わったというのに、昭和生まれの父の頭を新しいものに変えることはできない。
トニーが好きだ。
トニーに「また会いたいな」とこの間ラインしたら、
「いつでも、会えるよ。そのうち連絡するよ」
って返ってきた。
トニーはいつでもそうだ。誰に対しても優しく、そつのない男だ。
イケメンではないのに、女の子を引き付けてしまう。
勝ち目のない試合に臨むボクサーの様に、首を捻り、スマホを手に取った。
これからどうしよう。トニーの住む現代的なデザインのマンションの周りを歩いて、歩いて歩きまわろうか。
恋とストーカ―の区別がルルにはわからない。
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