この男プルプル
この男は、プルプルだった。
いや。
実のところ、この男が、男か女か、どうかも分からない。
とにかくプルプルであった。
しかも、生まれてこの方、この男は、プルプルしか知らないし、プルプル以外は見たことも、聞いたこともなかった。
来る日も来る日もプルプルで、寝ても覚めてもプルプルであった。
この男は、世界はプルプルで出来ていると思っていた。
この男の生活については、産み落とされては、幾つかのプルプルとくっ付き、妙な叫び声と共に、弾け飛ぶ毎日であった。
また、悪い事に、この男と同種族が弾け飛ぶと、その後に連鎖し、他のプルプル種族達も弾け飛ぶことがあった。
「嫌になっちゃうよ〜」
この男は、弾け飛ぶ度に、プルプル達と、この世を恨んだ。
しかしこの男、今となれば、その頃が幸せだったのかもしれない。
この現代では、存在することが認められていないからだ。
元号で言えば、平成初期に栄え、令和ではほぼ絶滅したと言える。
この男の産みの親は、当時は目新しいさもあって、もてはやされ、全国各地でプルプルだらけになり、一財産を築いた。
その後、この親は調子に乗って、プルプルランドなる遊園地を計画し、多くの人を雇い入れたりもした。
この親には夢と野望があった。
地元である広島に、ディズニーランドに負けない、夢のある遊園地を築き、人々を幸せにすること、より会社を大きくすること。
そんな中、山田証券が破綻した。
その後、銀行の貸し渋りに遭い、あっと言う間に、この親の会社は資金ショートに陥った。
今や、この親は四畳半一間の部屋のこたつに入り、悔いる毎日を送っている。
さて、話をこの男プルプルに戻そう。
この男プルプルは、先にお話ししたとおり存在自体は潰えはしたが、連鎖作用などのDNAは、現代にも脈々と引き継がれていると言えるであろう。
END
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