旧祭り | 文字数: 832 | コメント: 0

この男プルプル

この男は、プルプルだった。

いや。
実のところ、この男が、男か女か、どうかも分からない。
とにかくプルプルであった。

しかも、生まれてこの方、この男は、プルプルしか知らないし、プルプル以外は見たことも、聞いたこともなかった。

来る日も来る日もプルプルで、寝ても覚めてもプルプルであった。

この男は、世界はプルプルで出来ていると思っていた。

この男の生活については、産み落とされては、幾つかのプルプルとくっ付き、妙な叫び声と共に、弾け飛ぶ毎日であった。

また、悪い事に、この男と同種族が弾け飛ぶと、その後に連鎖し、他のプルプル種族達も弾け飛ぶことがあった。

「嫌になっちゃうよ〜」

この男は、弾け飛ぶ度に、プルプル達と、この世を恨んだ。

しかしこの男、今となれば、その頃が幸せだったのかもしれない。

この現代では、存在することが認められていないからだ。

元号で言えば、平成初期に栄え、令和ではほぼ絶滅したと言える。

この男の産みの親は、当時は目新しいさもあって、もてはやされ、全国各地でプルプルだらけになり、一財産を築いた。

その後、この親は調子に乗って、プルプルランドなる遊園地を計画し、多くの人を雇い入れたりもした。

この親には夢と野望があった。

地元である広島に、ディズニーランドに負けない、夢のある遊園地を築き、人々を幸せにすること、より会社を大きくすること。

そんな中、山田証券が破綻した。

その後、銀行の貸し渋りに遭い、あっと言う間に、この親の会社は資金ショートに陥った。

今や、この親は四畳半一間の部屋のこたつに入り、悔いる毎日を送っている。

さて、話をこの男プルプルに戻そう。

この男プルプルは、先にお話ししたとおり存在自体は潰えはしたが、連鎖作用などのDNAは、現代にも脈々と引き継がれていると言えるであろう。

END

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