旧祭り | 文字数: 569 | コメント: 0

プルプル地獄

俺はずいぶんと悪いことをしたもんだ。

ゲンゴウ爺さんちの畑の瓜ををおいしそうなとこみんな食べてしまったし、
うるせい子供を見つけると、ひねり石投げてやったし
庄屋の娘のお腹が大きいとき、ふざけて坂道で押しちまったら、
お腹の子が産まれちまって、そのまま死んじまって、庄屋の娘もおおあざ作った。

村の中の嫌われ者で、最後は冬の晩にゲンダイ酒屋の新しい酒盗んで酔いつぶれて、
夜の道に寝転んで、その後おっちんじゃったさ。

それからはご想像の通り、地獄行きだわね。

地獄っていうのはひどいところやな。
地獄の門のところには、おっそろしい顔の閻魔様がいるし、俺みたい奴は
根性が悪いからって、血の池地獄やら、釜茹で地獄、針地獄、肥溜め地獄とつぎつぎ押し込まれ、
最後にやってきたのがこのプルプル地獄だわね。

プルプル地獄ってとこはまわりがプルプルしたものに囲まれていて、
真っ暗で身動きが取れない。ひものようなモノでつながれていて、しゃべることもできない。
まわりがプルプルしていて、何も考えることができない。
だけど、じぶんはちっぽけで何もできない虫けらのような気がしてくる。
だけど、もしここから出ていくことができるなら、
今度はまっとうなものになって、まっとうな人生を・・・


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