日常 | 文字数: 347 | コメント: 0

余暇

城の中での一生は退屈を極める。先日私が管理官に出した要望書は、採用されそうにない。ほぼ形だけとはいえ、一応は庶務七等官だが、権限などあってないようなものだ。洗濯室での待ち時間を、こんな雑文で紛らそうとしている。
二親とも教師だったせいか、お金の才覚に乏しい。学芸はざっと見通したくらいで、あとは毎日を城の中で生きる。上役ややんごとなき方々の考えを、それほど理解しているわけではない。退屈だと書いたのは、私というよりそれらの人々の事のつもりだ。私自身は城の暮らしに満足していると思う。ただ他国には行ってみたい。給料が安いのだ。
こんな事を携帯端末に保存していても、あとで盗み見られるだけだろう。さすがに書くくらいで、そのデータが勝手に管理官に送られる事はないと思う。
洗濯は終わったようだ。

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