シリーズ | 文字数: 1451 | コメント: 0

Chapter5 狂い出す過去③

《若葉視点》
 お姉ちゃんを先に行かせて、ハングマンと戦っていた私達。
 急ぎ足でお姉ちゃんの所へ向かう。
 探し回っていると、見覚えのある姿が見えた。
 そしてその奥には…。

 「お姉…ちゃん…?」
 そう。
 お姉ちゃんが、仰向けになって倒れていた。
 もしかして…。

 「大屋!黒沼!」
 私は彼らの名前を呼びかけ、彼らは振り返った。
 「あら、松浦の妹と西園寺じゃない。」
 「お前らが姉貴を?」
 「別に殺していないわ。叫び声を上げて倒れただけよ。」
 「…お姉ちゃんに何をしたの?」
 大屋と黒沼を睨みながら、私は問いかけた。
 「それが知りたかったら、姉の所に行ってみたら?」
 そう言われたので、仕方なく近付いてみる。

 「…若葉、これ…。」
 涼介君が見つけて手に持っていたのは…。

 松浦一家の家族写真だった。
 「…!」
 …そうか。お姉ちゃんはこれを見て倒れたんだ。
 そう思った私は、鬼のような形相で大屋達を睨んだ。
 「どこでこれを手に入れたの!?
 どうしてお姉ちゃんのトラウマを蘇らせたの!?」
 お姉ちゃんはずっと、この事で苦しんでいた。
 それを大屋が知っていたなんて…。
 「あんたも知ってるはずよ?何で私がこれを知っているのか。」
 「まさか…、あの時…!」
 私はこう思った。
 両親を殺したのは…。

 今目の前にいる、大屋佐江子だと。
 「私ね、あんたと初めて会った時、あんたとあんたの姉の両親の顔を思い浮かんだの。
 あんた達は…、松浦家の子供だって。そう思ったのよ。」
 「大屋…!!」
 私は神楽刀を構えようとした時。
 「…若葉、ここは体勢を立て直そう。」
 「何で?こいつは、私の両親を殺したんだよ…?
 そんな事聞いて!黙っていられる訳ないでしょ!?」
 「今の状況を考えろ!姉貴は倒れてんだ!
 そんな状況のままで!お前が大屋に挑んだらどうなる!?
 お前が死んだら!姉貴も殺されるかもしれないんだぞ!!
 それでいいのか!!?」
 「っ…!」
 …確かに、そうかもしれない。
 もしも私が無理に大屋に手を出したら、確実に殺されるに違いない。
 そして姉妹共々死んだら、涼介君はどうするか…。

 「何なら今回は戦わなくてもいいけど?」
 「うっ…。」
 「…だからよ…。」
 「……。

 …わかった…。」
 仕方なく私は、今回は戦わない事にした。
 「…でも、私は諦めないから。」
 「ええ。楽しみにしてるわ。」
 大屋はそう告げ、黒沼と一緒に行ってしまった。



《涼介視点》
 俺達はあれから、姉貴を巣へ置きに行った。
 途中から俺は姉貴の行きつけのコンビニに行った。


 下水道へ行き、姉貴の巣に辿り着いた。

 「…!涼介君…。」
 「…姉貴、今どんな調子だ?」
 「まだ気絶したまま。」
 あれから姉貴は、目を覚まさないままでいた。

 「…なあ、若葉…。」
 「ん?」
 俺は、どうしても若葉から聞きたい事があった。
 「あんたらの方で何があったのか、教えてくれないか?」
 そう、姉貴達の過去。
 何故大屋は、姉貴達の両親を殺したのか。
 それが気になっていた。

 若葉は、口を開いた。



 「…私達がまだ小さかった頃…。」

コメント

コメントはまだありません。