恋愛 | 文字数: 866 | コメント: 0

チョコから生まれた永遠の誓い

 君と僕は幼馴染で、家が隣同士という、漫画でいうところのタッチみたいな感じだった。  だけど僕は一人っ子だし、漫画のような仲のいい関係ではなく、ずっと顔を合わせるたびに悪口を言い合っていた。  当たり前のように学校でも一緒で、毎日毎日「バーカ」「チービ」「ブース」のキャッチボール。  そして毎日していたキャッチボールが、僕のせいで終わってしまった。  それは中学最後の2月14日。  親指に絆創膏を貼った君から「今までごめんね」とチョコをもらった。  でも素直なれない、まだ子どもだった僕は「ブスから貰ったって、嬉しくねえよ」といってしまい、初めて君を泣かせてしまう。  変な意地を張ってしまいすぐには謝れず、次の日から顔を合わせてもキャッチボールがない。  心にもやもやを抱えたまま、1カ月が経った。  悪口をいい合う関係は正直いって嫌だけど、君と普通に話せなくなるのはそれ以上に嫌で、君が好きなアニメのキャラクターのぬいぐるみを渡して「この前はごめん」とやっと謝った。 「慣れないことするもんじゃないよね。泣いてしまったけど、あのあと思ったんだ。私キモかったなって」  無理やり笑顔を作る君。 「そんなことないよ。美味しかったし」 「食べたんだ」 「うん。折角、貰ったんだし」 「そっか」  2人の間に沈黙が流れる。  2月で外にいたため、体が冷える。  そのせいで君はくしゃみをしたため、僕は羽織っていたコートを肩にかけてあげた。 「優しいとこあるんだね」  僕はもう一度「ごめん」と謝った。  君は小さく頷いた。  手が冷たいのか、指先を曲げ拳を作る君の手を握った。 「ありがとう」  この時、僕は誓った。  もう君を泣かせやしないと。  そして15年後。  僕はその誓いを破ってしまった。  左手の薬指に輝いた指輪を見て、君は涙を流した。  そして僕は、新たな誓いを立てた。

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