恋愛 | 文字数: 1417 | コメント: 0

【声劇台本】空が綺麗だ!

男:空が綺麗だなぁ。

女:……月が綺麗とは言って下さらないんですね。

男:えっ? あ、あぁ~! 空全体が綺麗だと思ったものだから……。

女:分かってます。あなたはいつもそう……。あなたの見る世界はいつだって大き過ぎるんです。

男:いや、俺なんかつまらない……。

女:許しません! あなたという人間を悪く言うことは、あなた自身であっても許しません!

男:ええ?

女:たとえ恐竜が相手だって、噛みついてやるって、決めたんです。

男:それは、おっかないなぁ~。

女:なにが可笑しいんですか?

男:いえ、別に。

女:笑い、こらえてるぅ~。

男:すみません。

女:もぅ。

男:唐突なんですけど。

女:はい?

男:月が綺麗です。

女:え?

男:もう、綺麗で綺麗で仕方がありません!

女:えええ~?

男:以上。

女:わ、私だって!

男:はい?

女:負けず劣らず、ずっとずっとずーーーーっと前から、月が綺麗でしたっ!

男:ありがとう。

女:もっと驚いて下さいっ!

男:ありがとうっ!

女:ふっ、「ありがとう」って言って、驚く人なんて、いないでしょう?

男:そうだね。

女:あれ? 今、ここの家の窓、開いた?

男:走ろうか?

女:え? ちょっと? 待って! ズルい!

ト書き:間を開ける。

男:あのさ?

女:なに?

男:カレー、作れるようになった。

女:カレー、作れなかったのよねー。

男:ちゃんと、食べれるよ。

女:我慢して、食べてない?

男:大丈夫。おいしいから。

女:ホントにぃ?

男:だからさ。

女:うん。

男:カレー……食べにおいでよ。

女:いい……けど?

男:それで、俺、カレーはすごく大量に作って1週間くらいはカレーを食べ続けるんだ。

女:へ、えー、え? だから?

男:だからさ。金曜の夜にカレーを作って、そこから、土曜、日曜とカレーを食べ続けよう。

女:はい? え? 金、土と、お泊り?

男:うん。

女:え? それ、お母さんには、なんて言うの?

男:そりゃあ、「金曜日の夜にカレーを大量に作って、そこから、土曜日、日曜日と、カレーを食べ続けなければならいので、金曜、土曜とお泊りしますぅ~」って。

女:「しますぅ~」って? ふふっ。そ~れは、確かに、許すしか、ないわよね~。了解いたしました。

男:カレーに何入れよう?

女:何入れる?

男:豆腐と油揚げと……。

女:ちょっとちょっと……、それじゃ味噌汁でしょ?

男:入れない? あ! 味噌汁も作ろう!

女:カレーなのに?

男:いや、俺の親父、味噌汁、大好きでさ。飯がなんでも、毎日、味噌汁付きで、カレーの日でも、味噌汁付きだったんだ。

女:じゃあ、お味噌汁も作ろう! 豆腐と油揚げと、長ネギも入れよう! お鍋は足りる?

男:足りる。

女:駅に着いたね。

男:家まで……。

女:送ったら、あなたは、どうやって帰るのかなぁ?

男:気を付けてね。

女:うん、じゃあ、週末。

男:うん、週末。

コメント

コメントはまだありません。