日常 | 文字数: 660 | コメント: 0

風が笑う

キヒヒと笑う風がいる。

昨日は犬を殺した。その前は猫を殺した。

だぁれも気づかない。

笑う風は僕の中にいる。僕の中にいてキヒヒと笑う。

僕が死ねと思ったら、風が胸から吹いてきて皆を殺してしまう。

だから僕は誰にもわからない場所で必死にソイツを押さえているんだ。

声に出せば笑う風が吹き出してしまう。

学校とか、テストとか、宿題とか。そういうのを強制する全てを切り刻んで殺したい。

でもダメなんだ。それはとても悲しいことなんだ。

殺した犬には飼い主がいた。ボクに吠えてボクを噛んだ犬だけど死んで悲しむ人がいたんだ。

あの野良猫だってもしかしたら誰かの支えになって大事な存在かもしれないんだ。

ボクと違ってね。

風はそんなボクを笑う。バカでアホウな奴だと笑う。

誰かにいったらバカにされてしまうから、そうなったら風が吹くから。

だから誰にも言わずひっそりとひきこもるのだ。

でも辛いなぁ、我慢は苦手なんだ。

そうだ、思いついた。

僕がいなくなれば風はもう吹かない。我慢をしなくてもいい。やったぜ。

風がヒヒヒと笑う、きっと何度目かの同じこと。

風が僕を刻む、風が笑うキヒヒと笑う。

都会のどこかで一人の少年が死んだ。それは社会が悪くて、大人が悪くて、いじめられていたらしい。

それは全部間違い。

優しい弱い子がいたというだけ。

風は今日も吹く、誰かの優しさの中にキヒヒと笑って入り込む。

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