旧同タイトル
|
文字数: 329
|
コメント: 0
夢老い人
わたしは、夢追い人だった。
妻をなおざりにして、夢を追いつづけた。
時に、妻を罵倒したこともあった。
なぜ、そんなに夢ばかり追い求めるのか、と侮辱する妻にひどく苛立った。
現実ばかりに囚われる妻を、愚か者だとさえおもった。
夢を追いかけること。
それは、とても誇らしいことだと信じてやまなかった。
けれど、気づいた。
老いて、そして、妻を失ってようやく気づいた。
愚か者は、他でもないわたしだった、と。
理想ばかりを追いかけて、目の前にある最も大切なものをないがしろにしてきた。
なんと憐れで情け無いことよ。
亡き妻よ。
わたしは、なんと詫びれば良いのが分からない。
妻よ。
コメントを投稿するにはログインが必要です。
コメント
コメントはまだありません。